札幌駅前通の北2条西3丁目にある若草ビルにカラオケボックスがテナント入居する。若草ビルは、パチンコ若草を営業していたが1997年に閉鎖、長く空き状態が続いていたが直近の一時期には仏壇の現代仏壇が路面店のショールームとして営業していた。
現在、原状復帰の工事が進んでおり7月中に内装工事を終え、8月にもカラオケボックスとして営業を開始する。(写真は、カラオケボックスがテナント入居する若草ビル)
 
 若草ビルを所有する若草企業は、1953年に故・近藤弓夫氏が創業したパチンコ事業者。設立当時は、戦後の混乱がようやく落ち着いてきた時期で、庶民の娯楽としてパチンコが急速に普及し始めていた。
 
 近藤氏は戦前、満鉄で油の研究をしていた技術者だったが、札幌に引き揚げてから札幌駅前で近藤食堂を経営、ダンス教室も開くなど当時から商売の才覚を表していた。パチンコ店に進出したのも時流を素早く捕らえる近藤氏の嗅覚が発揮されたもので、郊外には出店せず駅前通のみで5店舗を展開、札幌パチンコ界の草創期を彩った人物だった。
 
 北2西3の土地は、1962年に若草企業が取得、駅前通のパチンコ店として賑わった。5店舗のうち駅前の2店舗を近藤氏の甥に譲渡し、97年には若草ビルのパチンコを閉店。
 その後、駅前通に面した若草ビルは長く空きビルのまま放置されていた。
 
 近藤氏が2007年8月に亡くなった後は、親族が代表者を務めることになったが、3年ほど前に仏壇・仏具を扱う現代仏壇が路面店として入居、ほぼ10年ぶりに空き状態が解消された。
 
 ただ、現代仏壇は新ビル建設の期間中のみのテナント契約だったため、昨年から再び空き状態になっていた。
 
 今回、カラオケボックスが地下1階から2階部分までを利用する模様で、原状復帰工事の後にカラオケの内装工事に入り、8月ころにオープン予定。
 
 札幌駅から大通までの駅前通周辺には、シダックス、まねきねこ、歌屋、ビッグエコーなど大手チェーン4店がある。駅前通沿いの路面店としては初めてのカラオケボックスになるため、周辺ビルの一部テナントからは不満の声も上がっている。



5人の方がこの記事に「いいんでない!」と言っています。