増え続けるオレオレ詐欺や還付金詐欺などの特殊詐欺事件。様々な啓発活動をしているにも関わらず高齢者を中心に被害は後を絶たない。そうした中、ダスキン(本社・大阪府吹田市)北海道地域本部と北海道警察が連携して特殊詐欺被害防止の啓発活動をスタート、同本部と北海道地域のフランチャイズ加盟店が道警から「特殊詐欺被害防止アドバイザー」の委嘱を受けることになり、5日、ロイトン札幌(札幌市中央区)で委嘱状の授受が行われた。同社が警察と連携してこうした啓発活動をするのは全国初。DSCN6222(写真は、道警生活安全企画課長の烏潟俊夫氏から委嘱状を受け取るダスキン北海道地域本部長の森田武浩氏=左)

 特殊詐欺被害の件数は、今年1月から5月末までで68件、被害額は1億2000万円にも及ぶ。ダスキンは、現在道内約32万軒の一般のお客と取引があり、その中の約半数が高齢世帯。スタッフがお客の自宅を訪問している際、特殊詐欺被害に関わる話をよく耳にしていることから、道警に「特殊詐欺被害防止のためのアドバイスを行う取り組みを行いたい」と相談。今回、道警から特殊詐欺被害防止アドバイザーの委嘱を受けることになった。
 
 具体的な活動として、特殊詐欺に関する情報をチラシや声がけによって知らせると共に、通報の協力などで進めていく。また、ATMを利用した詐欺を防止するため、約7万軒の事業所取引のうち、金融機関や商業施設などATMを設置している事業者に「特殊詐欺被害防止啓発マット」を積極的に提案していく。
 
 このマットは、同社が新たに制作し、犯罪抑止効果を狙って「北海道警察」と表記しているほか、赤や黄色など人目をひく色を使って被害防止の文言と図案が盛り込まれている。デザインは、道内で多い医療費還付金詐欺についての内容だが、今後、詐欺の被害状況に応じて図案を変更する。
 
 委嘱状を手渡した道警本部生活安全企画課の鳥潟俊夫課長は「これらの取り組みは、近年企業において認知されつつある防犯CSR活動として心強い。CSRは企業が社会の一員として果たすべき様々な責任を意味し、多くの企業では環境、交通安全、福祉などの分野でCSR活動は行われているが、防犯分野ではまだ少ない。地域の安全、安心のため企業の防犯CSR活動には期待と注目が集まっている」と話したうえで、「CSR活動は近江商人の売り手よし、買い手よし、世間よしのいわゆる三方よしに通じる活動。自分たちの取引だけではなく周囲や地域の人々のことを視野に入れて事業を行うという理念に繋がる」と述べた。道警では、ダスキンに特殊詐欺の最新手口などの情報を提供、スタッフが高齢世帯で注意喚起するときに役立ててもらう。
 
 ダスキンの楢原純一取締役は「北海道32万軒、全国で520万軒と取引しており、より良い社会、楽しい社会、お年寄りが安心して暮らせる社会に役立ちたい。私たちの持てる力を精一杯出してお客様、地域社会に役立つダスキンを目指す」と述べた。

 委嘱期間は来年の3月31日まで。なお、特殊詐欺被害防止啓発マットの価格は1枚あたり、2週間のレンタルで税込999円だそう。設置枚数はまだ決まっていないが、金融機関、商業施設など道内約6800ヵ所に提案していく。
DSCN6223(写真は、ダスキンの楢原純一取締役=左と森田氏。両端はダスキンの特殊詐欺被害防止を啓発するオーダーメードのマット)


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