J1昇格を決めたコンサドーレ札幌を運営する北海道フットボールクラブ(HFC)の2011年12月期決算は、経常利益ベースで2000万円程度の黒字になったが債務超過は解消されなかった。J1昇格には債務超過解消が要件となっており、7000万円程度とされる債務超過解消のため筆頭株主であるサポーターズ持株会などを中心に増資を行うことになる。しかし、4年前には大幅減資で20億円を毀損するなど新たな増資に批判的な声が強い。HFC経営陣に残された時間は少なく、抜本的な経営改善策を早期に示し増資の理解を得る必要がありそうだ。(写真は、コンサドーレ札幌2012年のリーフレット)
 
 HFCの前期決算は、ダニエルソンの移籍金1億2500万円を特別利益に計上、経常利益で2000万円程度の黒字になった。しかし、当初計画ではダニエルソンの移籍金なしでも2700万円程度の経常黒字を予測。当初計画通りならダニエルソン移籍が決定したことで債務超過解消の可能性もあった。
 
 つまり、10年12月期決算でのHFCの債務超過額は9725万円。11年12月期の当初計画は経常黒字2700万円、さらに移籍金1億2500万円で債務超過は解消されるというわけだ。
 
 しかし、HFCが23日に開いた取締役会でまとめた決算見通しでは、移籍金を計上しても経常黒字額は2000万円に留まるという。この結果、債務超過は解消されず依然として7700万円程度が負債として残ることになる。
 
 J1昇格には、早期の債務超過解消が要件で、HFCは増資によって解消する以外に選択肢はない模様。
 
 HFCの大株主は、サポーターズ持株会が29・71%を所有する筆頭株主で以下、石水勲氏(12・57%)、石屋製菓(10・06%)、札幌丸井今井(6・41%)、ニトリホールディングス(6・41%)、札幌市(3・77%)、北海道(3・77%)、サッポロビール(2・01%)、大成建設(1・26%)、北海道新聞社(1・26%)となっている。
 
 増資額は1億円程度になるが、大株主の間ではHFC経営陣に対する不信感が強い。と、いうのも前回の08年J1昇格時に資本金25億円を5億円に減資したうえで7億6400万円に増資して債務超過を解消、20億円を毀損したためだ。
 
 このため、今回の増資には抜本的な経営改善策が提示されなければ持株会など大株主の理解は得られないと見られる。入場者増への取り組みとともに人員削減や経費削減、HFCが運営している他団体の切り離し、さらには道や札幌市への返済金猶予なども浮上しそう。
 
 J1昇格後、札幌ドームでジュビロ磐田との開幕戦が3月10日に行われる。それまでには大枠の方向性を決め、3月23日の株主総会では増資決定をしなければJ1昇格要件が満たされない事態に陥ることになる。
 


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