コンサドーレ取締役ゼネラルマネージャーでチーム統括本部長の三上大勝氏(46)が、SATOグループオープンセミナーで講演した。テーマは、『北海道コンサドーレ札幌の地域貢献(アジア戦略)と前半戦を振り返って』。集まった約70人を前に、三上氏は「北海道を豊かに元気にすることがコンサドーレの目的だ」と強調した。講演の内容をシリーズで紹介する。IMG_4405(写真は、SATOグループオープンセミナーで講演する三上大勝氏=6月27日、札幌市中央区のキャリアバンクセミナールームで)

 三上氏は、室蘭市出身。室蘭大谷高(現北海道大谷室蘭高)から1993年3月に札幌大学経営学部を卒業してNEC山形サッカー部(現モンテディオ山形)に所属。95年に選手を引退し、モンテディオ山形法人設立準備室に在籍。その後、社団法人山形県スポーツ振興21世紀協会に在籍、99年7月に北海道フットボールクラブ(現コンサドーレ)事業部へ。強化部スカウト担当、強化部長を経て2013年からゼネラルマネージャー。

 三上氏は最初にコンサドーレの経営規模について話し、「5年前は収益が13億円だったが17年度は倍の26億円、今年度は30億円規模になる。しかし、これでもJ1では15~16番目の規模でJ2でも7~8番目。チーム強化費が多い方が勝つ可能性は高いが、それ以外の価値を作って上位争いをしてJ1残留を果たしたい」と述べた。

 クラブのスローガンは、6年前まで毎年変えていたが、この5年間は『北海道とともに世界へ』で一貫している。選手、スタッフ共にサッカーを通じて北海道に何ができるかを意識付けするためだ。

 クラブの特徴の1つに選手の退団時のサポート体制がある。20年前は選手たちの間で「コンサはやりがいがあるけれど退団したら他に行くところがなく、退団は選手の墓場だ」と言われていた。三上氏は「退団後もコンサに来て良かった、北海道に来て良かったと思ってもらえるように出口戦略を大切にしようとしてきた。入団時はどこでも親切だが、退団時のケアこそ大切。他のクラブは退団の際は代理人に任せっきりになるが、コンサは代理人と一緒にセカンドキャリアを考える。毎年5~7人が契約満了になるが、大切にすることが重要だ。北海道出身でない元選手が北海道で活躍しているケースが多い」と話した。

 チームの一体感を継続するために、コーチ陣を変えないのもコンサの特徴だという。「新しい監督が就任したらコーチもすべて代わる場合が多い。私は強化責任者になって12年になるが、監督が代わってもコーチは代わったことがない。これは他チームにはないことで、それが1+1が3にも4にもなって勝負ができる1つの要素」と語った。

 三上氏には、反省があるという。「私は25歳で現役を引退したが、一緒にプレーしていた仲間たちの中には『Jリーガーになる』『日本代表になりたい』と口に出していた選手がいて、本当にJリーガーや代表になった。私はあまり希望を口にしなかったが、思いを言語で表明することは大事だ。言語にすることで今何をしなければいけないかに気づくからだ。そのうえでこう言う。3年後にACL(アジア・チャンピオンズリーグ)に出場したい、と。J1で3位以内に入れば出場権がある。サッカー界で『まさか』と言われているが、3年以内に出ると宣言したい」と訴えていた。(以下、続く)


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