一般社団法人によるプロバスケットボールチームの運営を目指す北海道総合スポーツクラブの設立総会が7日に行われ、翌8日に法人の設立申請が行われたが、事業計画はあっても中身の伴わない現在の状況の中で、13日に日本バスケットボールチーム(JBL)が加盟承認するという。年会費の未払いや虚偽の決算を報告したとして1月末に除名、チームの無償譲渡を要求されたレラカムイと今回の道総合スポーツクラブのJBL加盟の甘い裁定は整合性がない。JBLは、なぜ道総合スポーツクラブを加盟させるのか、説明責任を果たすべきだろう。(写真は道総合スポーツクラブ理事長に就任した折茂武彦氏=右)
 
 元レラカムイ主将の折茂武彦氏とJBLの吉田長寿専務理事は日大バスケ部の先輩後輩の間柄。今年1月にJBLはレラカムイを除名し、JBLは吉田専務理事の采配でレラの受け皿として日本バスケットボールオペレーションズ(JBO)が直轄してシーズン終了までチーム運営を行ってきた。
 
 シーズン終了後、来シーズンが始まる10月までに北海道に新チームを設立することになり、吉田氏の後輩、折茂氏が株式会社を設立する方向だった。
 
 折茂氏は出資金を集めようとしたが、1億円程度の目標に対して実際に集まったのは2000万円程度。バスケ選手の年俸は「下限でも1000万円。レラは4~500万円の年俸という選手もあったようだ。1億円を集めてもバスケチームの場合は初期投資の人件費に消えてしまう」(児玉芳明コンサドーレ相談役)
 
 そこで折茂氏とJBL吉田専務理事は方針転換、プロスポーツマネジメントの研究者である谷塚哲氏の唱える社団方式での運営に急遽取り組むことになった。
 
 7日、一般社団法人北海道総合スポーツクラブの設立総会が開かれて理事長に折茂氏が選出され、他の理事には道バスケットボール協会理事長の森野和泰氏、JBL理事の佐古賢一氏が選ばれた。社団法人によるプロバスケチームの運営は全国初となるが、単年度事業費は株式会社と同様に1億5000万円程度が必要。
 
 個人や法人から広く浅く資金を集めることにしているが、7日時点では約580万円が集まっているという。
 
 道総合スポーツクラブは誕生したばかりで、この先資金集めや運営体制が構築できるのか不透明な中で、JBLは13日の理事会でリーグへの加盟承認を行うという。
 
 加盟審査はどういう手順で、どういう方針の下に行うのか――ペーパー上の事業計画のみで審査がパスできるのであれば、レラカムイの厳しい処断と比べていかにも甘い措置と言わざるを得ない。
 
 前出の児玉氏は、「社団になると国や自治体からお金を出しやすくなり、totoなどスポーツ振興基金を受けやすくなる」としているが、こうした補助金頼みの運営姿勢では早晩行きづまることはハッキリしている。
 
 北海道に芽が出てきたプロバスケチームを存続させるのは大切なことに違いないが、あくまで自主、自立によるチーム運営が不可欠ではないか。


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