広島市のマツダスタジアムで北海道日本ハムファイターズの栗山英樹監督が宙を舞った。プロ野球日本一を決める日本シリーズ。同スタジアムで2敗の後、札幌ドームで3連勝。王手で臨んだ29日の敵地戦で日ハムらしい勝利を掴み、10年ぶりの日本シリーズ優勝を飾った。P1090198(写真は、日ハムの日本一を報じる新聞)

 栗山監督は「プロ野球は時代を映す鏡」だという。「カープ女子」や「神ってる」という言葉は今や日常的に使われている。時代を映しているのは、「広島東洋カープ」というのが大方の見方だっただろう。しかし、日本シリーズ優勝で、時代を映していたのはむしろ日ハムの方だったことが分かる。
 リーグ戦でソフトバンクとの11・5ゲーム差を巻き返す「諦めない力」や「二刀流」、さらにクライマックスシリーズやこの日本シリーズでプロ野球を漫画以上に面白くさせた日ハムはまさに時代を映す鏡だった。
 
 プロ野球は、オーケストラと同じで指揮者、つまり監督の采配によって力量が大きく変わるのだろう。監督と言えば星野仙一さんのような「闘将」もいれば、王貞治さんや原辰徳さんのような「賢将」もいる。栗山さんは何だろうか。選手を鼓舞するような「闘将」ではないし、現役時代の活躍を背景にした「賢将」でもない。
 
 謙虚さがチームに反映したということで「謙将」と言えるのではないか。広辞苑で謙虚を調べると、「心をむなしくしてわだかまりのないこと、言動がつつましいこと」とある。栗山監督の謙虚さは選手の力を冷静に見ることに繋がり、選手は采配に応えて1試合ごとに成長していった。
 
 最後まで諦めない力は日本シリーズという真剣勝負の場でのナインの勇姿に繋がった。時代を映す鏡から得るものはたくさんあるようだ。


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