道警元総務部長の佐々木友善氏(66)が、取材をせずに虚偽のことを書かれて名誉を毀損されたとして書籍を書いた道新記者2人と道新、本を出版した旬報社、講談社を訴えていた裁判で被告の1人、道新の高田昌幸記者が近く道新を退社することになった。この裁判では、一審、二審ともに原告の実質勝訴となっており現在最高裁に上告中。道新が報じた一連の道警裏金問題のキャンペーン報道は日本新聞協会賞などを受賞しており、キャンペーンの中心人物だった高田記者の退社は波紋を投げかけそうだ。(写真は昨年の控訴審判決後の道新記者2人の会見。中央が高田記者)

 

 裁判は、2006年5月に佐々木氏が札幌地裁に提訴。道新取材班の著作による「追及・北海道警『裏金』疑惑」(講談社文庫)と同班らの共著「警察幹部を逮捕せよ!泥沼の裏金作り」(旬報社)の2冊の中にある佐々木氏の裏金対応に関する4カ所の記述部分が名誉毀損に当たるとしたもので、道新と書籍を書いた高田・佐藤一の道新記者2人、出版社、道新に慰謝料600万円と本の回収、道新への謝罪広告の掲載を求めていた。

 

 一審の札幌地裁判決は09年4月で竹田光広裁判長は、記述の一部を「真実と認めるに足りない」として、全被告に計72万円の賠償を命じ、本の回収や謝罪広告については認めなかった。判決では原告・被告の訴訟費用約700万円については原告が9割を負担するものとした。

 

 これに対して原告、被告の双方が控訴。10年10月26日の控訴審(井上哲男裁判長)判決では、一審判決をそのまま踏襲、原告勝訴となったものの、訴訟費用についてはそのまま原告が9割を負担せよというものだった。

 

 控訴審判決を受けて、再び双方が上告、現在最高裁第一小法廷で継続扱いになっている。

 

 そんな最中、被告の1人高田記者が近く道新を退社することがわかった。高田記者は、道警担当からロンドン駐在を経て一時運動部に所属、その後東京支社で外報に携わっている。

 

 道新の道警裏金問題のキヤンペーン報道は、新聞協会賞や日本ジャーナリスト会議大賞、菊池寛賞などを受賞している。

 

 佐々木氏が提訴した中身は道新に掲載された記事ではなく、キャンペーンの一環として発刊された書籍の4ヵ所の記述。当時の道新道警担当記者は総勢8人で高田氏はキャップ。既に1人は道新を退社しており、高田氏で2人目の退社になる。

この記事は参考になりましたか?