十勝毎日新聞の林光繁会長が、北海学園大学のコープさっぽろ寄附講座で十勝毎日新聞の取り組みについて語った。新聞は斜陽産業と言われて久しいが、一ローカル紙ながら「勝毎」はイノベーションを進め地域紙として存在感を高めている。林会長が語った勝毎の戦略とはどういうものか。

勝毎は帯広を中心に十勝全域を対象に、実売部数は8万9000部。実売を増やすために新聞業界で使われている販売店への予備紙(押し紙)は2%以下という。大手紙ではこの予備紙の比率が6~30%にも及び見かけ上の実売部数を維持、実売が多いと見せかけて広告料金を高く設定しているところもあるという。
しかし、見かけ上の実売を多くして広告料金を高い価格のまま維持していると、結果的に広告を出す企業等の広告費が割高のままになり、出稿意欲が減ってしまう。
「予備紙の比率を抑えて実態に合った実売にすれば、広告費も下げることが出来て、結果的に広告を出稿したい企業にメリットが出る」ということで、勝毎の地域での存在意義がより高まってくるという訳だ。「道内有力紙(これは道新のことをさしていると思われる)は、十勝地域で4万部を切っている」と林会長は地域密着路線に自信を示す。
勝毎は40P印刷体制を取っており大新聞の体制と同じ。大新聞では16面カラーどまりだが、24面カラー印刷ができるようにしているという。
また、勝毎は夕刊紙のため、空いている時間を使って朝刊印刷を受託、聖教新聞は20年前から、8年前には読売新聞、昨年からは朝日新聞の印刷も始めている。「日本で初めて読売と朝日というような競合する新聞の印刷を始めた」と林会長は胸を張る。
勝毎は、新聞のモデルを米国に求め、それが印刷受託や様々なイノベーションに結び付いている。
「日本には新聞協会加盟社は108社あるが、大きいところばかりですべて自己完結型。自分のところですべてをやろうとしてきたし、会合でも建前ばかり。裏では足の蹴飛ばしあいをしているのに」と大手紙のあり方は時代にそぐわないとばっさり。
米国には約1600の新聞があるが、すべて地方紙だという。「我々は米国型の顔の見える新聞を目指します」と勝毎の生き残りに自信を見せていた。

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