IMG_8208 北洋銀行と北海道大学の包括連携事業として実施されている市民医療セミナーの第3回が開催され、北大病院腫瘍センター診療准教授の田巻知宏氏が「がんの緩和医療」について講演した。田巻氏は、「一生涯で二人に一人はがんになり、がんは当たり前の時代になっている。これからのがん医療は、治療と緩和ケアの有機的な連携が常識になる」と話した。市民ら約100人が聴講した。(写真は、6月24日に行われた市民医療セミナーで講演する田巻知宏准教授)
 
 市民医療セミナーは、北洋銀行と北大大学院医学研究科がん予防内科学講座の連携事業として2011年度から始まり、今年度は4年目。年8回開催しているが、今回は初めてがんの緩和医療をテーマにした。
 
 がんの辛さは、体の痛みや不眠、先行きへの不安、家族との関係など多岐に亘る。緩和医療・緩和ケアは痛みを楽にするとともに様々な辛さを和らげ、患者と家族のQOL(クォリティ・オブ・ライフ)を改善する取り組み。麻酔医や薬剤師、精神科医師などがチームを組み、チーム医療で患者の苦痛をサポートする。北大病院は、がん診療連携拠点病院として緩和医療・ケアについても他の病院に伝授する役割も果たしており、緩和ケアはどこの病院でも受けられるようになってきている。
 
 田巻准教授は、「どう生きたいか、どう死を迎えたいかを考えなければいけない時代になってきた。それぞれの人生があるので一人ひとり考え方は違うが、がんになる前から遠い将来のことを少し考えて生活していく方が良い」と述べ、「がんには突然死というものがない。時間が許されるチャンスがあるのでその時間を大切にして治療・緩和ケアをうけながら『生きる』ことを目指しましょう」と語った。
 
 そのうえで、「緩和医療・ケアは人生の伴走者。ゴールに着くまでサポートするのが役割」と訴えた。
 講演後には聴講した参加者から「モルヒネは中毒になってしまうのでは」などの質問が寄せられ、田巻准教授は、「モルヒネを通常通り使えば中毒になることは全くない。また、モルヒネが効かなくなってもいくつかの組み合わせで痛みを取ることができる。私たちは痛みを取るプロです」と答えていた。



2人の方がこの記事に「いいんでない!」と言っています。