日本バスケットボールリーグ(JBL)に所属してレラカムイ北海道を運営していたファンタジア・エンタテインメント(水澤佳寿子社長)は、6月中にもJBLを相手取り除名処分の無効と損害賠償を求める民事訴訟を札幌地裁に提起する。除名を決議したJBL役員も対象に含める。除名から約5ヵ月、JBLとファンタジア社は、司法の場で双方の主張を戦わせることになる。(写真は、昨年のレラカムイ)

JBLがファンタジア社を1月19日に除名処分にしたのは、リーグへの未払いと経営状況報告に虚偽があったことを理由にする。リーグへの年会費未払いは2009年度から約3000万円とされ、経営状況報告では累積損失を2億3000万円としていたものが、実際には4億7000万円。09年5月期の債務超過額も2億円を超えていたことも報告されていなかった。

ファンタジア社は、資金面について中国の玄元文化グループと提携したことで解消できるとJBL側弁護士に報告したが、JBL側は「中国企業との提携についての事前報告がなかった」「回答期限を守らなかった」という理由で、ファンタジア社の除名を決めた。

除名処分によって、レラカムイは事実上JBLへの無償譲渡という形になったために、ファンタジア社の株主や債権者の権利、利益が侵害されたため民事訴訟を提起することになったものだ。損倍額は約3億3700万円とされている。

JBLとファンタジア社の決裂は、信頼関係、約束と言ったある意味で定量的な物差しが壊れたことに端を発する。双方に必要だったのは、どうすれば地方初のプロチームが地方で根付いていくかという定性的な関係を構築することだった。双方で新しいチームスタイルを作り上げていくことから導き出されるのは、レラカムイ北海道をJBL直轄監視下に置いて存続させる選択だったのではないか。

レラカムイ北海道後援会副会長の笹村一氏(アクトサービス代表取締役)は、こう語っている。

「JBLは日本を代表する有力企業の実業団を主体にしたチームが主力。ファンタジア社は初のプロチームでしかも地方の会社が運営する新しいモデルだった。地方のスポーツ運営会社が自立してやっていけるかどうか、JBLはそれをサポートしていくべき立場だったのではないのか。JBLにとっても新しいビジネスモデルになる可能性があった。成功事例を作るのが、JBLの正しい道だったはず」

裁判の行方は、ファンタジア社に関わってきた道内企業を救えるか、救えないかに直接影響してくる。それは元レラ主将の折茂氏が設立する新運営会社にも関わってくる問題だろう。

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