札幌市議会は、2015年度に各会派に市から払われた政務活動費の収支報告書と1円以上の領収書すべてのコピーを2日から公開した。支払総額は3億2424万円で実際に使われたのは2億8338万341円。残額4085万9659円は市に返却された。公私混同、舛添要一東京都知事のような“舛添”市議はいないのか、市民目線のチェックが必要だ。DSC_0461(写真は、札幌市議の収支報告書と領収書コピーを閲覧する市民団体のメンバーら)

 政務活動費は、地方自治法に基づいて地方議員の会派や議員に報酬とは別枠で税金から支払われる調査や研究のための活動費で市議会が自ら額を決定する。選挙活動や政党活動、私的な支出には使えない。
 
 札幌市議会は市議1人あたり月額40万円を年4回に分けて払うことになっており年間で議員1人当たり478万円(4月のみ38万円)。1円以上の領収書のコピーをすべて公開することになっているので透明性は高いと思われるが、実際には支出先が個人情報ということで黒塗りにされていたりしてグレーの部分も多い。15年度の領収書コピー枚数は、市議68人すべて合わせると9146枚。そのうち黒塗りは1割程度ある。
 
 事務所費は、政務活動専用なら全額、後援会事務所との兼務は半分、後援会事務所と政党事務所との兼務なら3分の1を充てられる。携帯電話の使用料やガソリン代は個人使用との線引きが明確でなければ4分の1を上限にして充てることができる。ただ、実際のところ携帯の履歴やガソリンの使途を議員がいちいちチェックしている時間はなく、4分の1ルールが守られているかどうかはチェックできない。
  
 問題なのは、政務活動費が前払いされ、余ったら返すという性善説に基づいている点。市議といえども会派という組織に縛られている。組織のルールや組織の慣例に疑問を感じない場合が多いだろうし、あるいは感じても声を出さないのが大人の対応とされる。議会ほど年功序列が厳しく師弟関係がハッキリしている体育会系組織はない。期数の少ない議員が声を上げられるほど開かれているとは言えない。会派、議員の常識は、市民の常識というわけではない。
 
 政務活動費の使途の多くは毎年決まっており、イレギュラーな支出はそれほど多くない。ならば、固定費は会派が年度当初に予算としてまとめて市から支出を受け、イレギュラーな支出は事後精算で良いのではないか。市議は市民の代表であり市民のプロというべき存在。市民の手本となるべきカネの使い方を示すのが本来の姿だろう。
 
 札幌市議会政務活動費の使途公開が始まった2日には、市役所15階の議会図書室に北海道市民オンブズマン連絡会議とNPO法人自治体政策研究所のメンバーが閲覧検証を始めた。
 同研究所の森啓理事長は、「現在の先渡しではなく事後精算にしたら使う金額も変わってくるのではないか」と話し、同連絡会議の橋本勝三郎代表監事は、「今日から10日間ほどかけて市民、納税者の目線で適正な支出かどうかをチェックしたい。前渡しが疑念を生む原因になっている」と述べた。
 収支報告書と領収書コピーは誰でも閲覧できる。同図書室は土日祝休日を除く午前8時45分から午後5時15分まで開いているので、市民の目で“舛添”市議がいないかどうかチェックしてみてはどうだろう。


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