来春の札幌市長選に自民党札幌支部連合会は、総務省キャリア官僚の本間奈々氏(41)を擁立する方向で調整を始めた。本間氏は02年9月から05年3月まで札幌市企画調整局企画部企画課長として出向経験がある。その後、愛知県春日井市副市長を務め、現在は総務省自治大学校研究部長。民主党が支持する上田文雄市長の3選出馬はほぼ確実で、本間氏擁立が決まれば女性キャリアVS現職弁護士市長の一騎打ちになりそうだ。


本田氏は福岡県出身で早稲田大法学部卒業後に総務省(当時自治省)に入省。札幌市への出向経験があることから札幌人脈もある。
その本間氏は、昨年7月に札幌市内で行われた北海道シンクタンク協議会20周年の記念シンポジウムに講師として呼ばれ地方自治について自らの考えを披露していた。
講演の中から、本間語録と言えそうな部分を以下に抜粋して紹介しよう。
「地域再生に何が必要かというとそれは国と地方の役割分担です。ただ、国が地方に口を出しすぎた面がある。大都市に人口や機能が集中しすぎているのも問題」
「地方自治は民主主義の学校そのものです。地方自治体は“おらがマチ”という親近感がないと成り立たない。私は30万人規模の地方自治体が自分のマチという感覚を持てる限界ではないかなと思います」
「北海道は市町村合併が進んでいない。逆に言えば進みにくい面があります。そのために道庁が市町村にどう手を差し伸べていくかが重要。地方公共団体が小さい規模のままでは職員の不足や高度な事務には対応できない。道州制を指向するよりも市町村の中に道は入っていかなければならないと思う」
「この10年、自治体と総務省は走りきった感がある。地方再生のための法律改正は一旦収束し、今後は足元を掘っていくことに力を入れなければならない」
「札幌市に派遣されていたころ、ものづくり産業が少ない地方公共団体は自分たちの税収で市政が賄えないため財政面で厳しいなと感じていた。今、出向している春日井市は予算規模400億円で自賄いできている」
「自分たちで価値がないと思っていても外から見れば価値のあるものがある。それを掘り起こしていくことが必要。まず足元を見ていくことが大切です」
地方自治を司る総務省キャリアとして率直な物言いは、本間氏の人柄を示している。自民党は経済界との調整を進めていくが、本間氏擁立が決まれば札幌市長選では初の女性候補となる。

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