DSC_6681 JR札幌駅北口に近い札幌市北区の「北8西1再開発事業」で当初の計画が大幅に変更されることになった。27日に同地区の再開発準備組合が日影問題で懸念を示していた北九条小学校の保護者を対象にした説明会で明らかにしたもので、高さ180mの高層マンション2棟を1棟に縮小、販売戸数も当初の900戸から600戸に減らす。日影の環境問題と資材価格などの工事費高騰が重なってスケールメリットよりコンパクト化を目指して事業を設立させるコンセプトに切り替えた。(写真は、北8西1再開発計画の変更案が示された北九条小学校保護者説明会)

 
 札幌駅北口8・1地区市街地再開発準備組合(田中重明理事長)は、地域住民への説明会を昨年10月、北九条小の保護者説明会を同11月と今年3月に開催してきた。保護者説明会では、保護者から50階建て、高さ180mの高層マンション2棟では小学校校庭や校舎が日影になる問題が指摘された。
 
 同地区は用途地域が商業地域のため当初計画通りに開発を進めることも可能だったが、市の再開発事業に指定されているため、まちづくりの観点から事業者の意向のみで計画を進めることは批判を招くと判断、日影問題を解消する方向で当初計画を抜本的に見直すことにした。
 
 27日、札幌エルプラザで開かれた保護者説明会には午前と午後の部に分かれ、午前の部には親子12人が出席。田中理事長が「保護者方々の懸念にどれだけ対応できるかを検討、さらに経済情勢の変化で工事費が高騰していることもあってマンションを1棟にする大きな変更で日照問題も解決しようと考えた」と説明。
 
 具体的な変更点は、①50階建て高さ180mマンション2棟のうち北九条小に近い北東側マンションを取りやめ南西側1棟に集約する②南東側の医療・福祉施設を備えたサービス付高齢者向け住宅(100戸)を17階建て高さ70mから12階建て高さ60mにする③北東側マンション予定地だった場所を9階建て高さ30mの自走式駐車場にする――というもので、北西側の医療施設と駐車場の建物(7階建て高さ30m)は現行計画を踏襲する。
 
 これによって、北九条小への日影は「冬至、春分・秋分の時には午前中日影にならず、夏至の時は朝から夕方まで日影はできないようになる」(設計した日本設計担当者)
 
 容積率は当初の地域貢献を加味した200%アップの900%から規定通りの700%に戻しマンション販売戸数は900戸から600戸に、駐車場の収容台数も800台から700台にした。延べ面積は約15万8000㎡から3万6000㎡縮小し約12万2000㎡になる。
 
 説明会に出席した保護者からは、「計画が1棟に減って日影が減ることは評価している」などの声が出ていた。
同準備組合では6月に地域住民の説明会を行い、市の都市計画審議会で地区計画決定を得た後、立ち退きや既存建物の取り壊しを行い2年後の3月から着工する予定。同地区内にある石山軟石を利用した石造りの建物は移転保存していく方向だ。



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