道議会で2011年度に議員や所属する会派に支給された政務調査費の収支報告書と使途が7月31日から全面公開されている。1円以上の領収書の添付が義務付けられてから2回目の公開だが、政調費の使途の中には道民の税金が使われることに違和感を抱かざるを得ないものが多数含まれている。(写真は、公開が始まった道議会政調費の収支報告書と領収書のコピーを閲覧検証する北海道市民オンブズマン連絡会議の橋本勝三郎代表監事=右)
 
 議員個人が政務調査費として使った領収書のコピーを一度閲覧してみると、「ここまで透明化しているのか」という思いと、「こんなものに使っているのか」という思いが出てくる。
 
 領収書の添付は06年度分から始まったが当初は5万円以上で、その後09年度分は1万円となり、10年度分から1円の領収書もコピーすることが義務付けられ透明度は年々高まってきた。
 
 透明度が高まるに連れ、政調費の使い方として庶民感覚からずれているという思いは年々強くなってくる。
 
 例えば、11年度分を見ると、「お茶代4970円」、「ゴミ袋代800円」、「来客用茶菓代1418円」、「ボールペン代148円」、「ガソリン代10742円」などという領収書がどの議員にも多かれ少なかれ添付されている。こういう使途は1円以上の領収書コピーが添付されてから分かってきたものだ。そのほかに共通するのは、事務所のスタッフ人件費、賃借料、電気代、水道代、灯油代、電話代などだ。
 
 これらの支出はいずれも道議会が第三者も加わった組織で決定し作成した「政務調査費の手引」によって“合法”とされた支出。
 
 議員はある意味で個人事業主と同じ環境にあるが、政務調査費の使途を見る限り、ひと昔前の「経費は会社持ち」と言う古き良き時代の会社員感覚が議員の中には未だに色濃く残っているのではないか。
 
 今回公開された政務調査費に関わる領収書のコピーは会派と議員を合わせて3万1929枚。政調費は、議員本人に月43万円、所属する会派に一人当たり10万円と合計53万円が道から交付されているが、11年8月以降は道の財政難もあって本人分が5万円削減されており総額は48万円。
 
 政調費問題をはじめ行政、議会の在り方を市民目線で検証している北海道市民オンブズマン連絡会議の橋本勝三郎代表監事は、「道議会政調費の1円以上全面公開まで10年かかっているが、47都道府県の中で公開度ではトップクラス。このことは高く評価すべきだろう。但し、使途にはマジックによる黒塗りが数多くある。個人情報保護と考えられるが、公人が公務のために使った公費は原則全面公開すべき。支払い先が分からないから調査のしようがない。説明責任を果たせないような収支報告書では、疑念疑惑が持たれる」と黒塗りの基準を見直すことを提言している。
 
 閲覧は、道議会1階の事務局会議室で午前8時45分から午後5時半まで誰でも自由にできる。


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