2012年第一回定例道議会が23日始まり、高橋はるみ知事が12年度の道政執行方針説明を行った。知事は、「過去の成功体験やキャッチアップでは的確な答え見出すことが難しい時代に入った。今年1年を行動する年として、先頭に立って道民の皆様と連携し、困難な局面であっても最後までやり抜くという強い決意をもって行動する」と決意の一端を披露した。(写真は、執行方針演説をする高橋はるみ知事)
 
 知事は、北海道を「経済と心の豊かさの両立が実現できるオンリーワンの地域」としたうえで、地域経済の再生と未来を開く経済構造の確立を進めると強調。
 
 そのうえで、食産業立国に最優先で取り組み、経営安定対策や基盤整備を進め食料供給基地として安定的な生産体制を築くとともに食材の価値を高めて道内外へ高品質で安全・安心の道産品として供給、「国際戦略総合特区の北海道フードコンプレックスを起爆剤に、研究開発から販路拡大、食クラスター連携事業を全道で展開し食関連産業の誘致も行う」と述べた。
 
 北海道の優位性を活かした先進的社会モデルの創造にも取り組み、東日本大震災以降のエネルギー効率利用が課題になっていることに対応、道内に豊富にある自然エネルギーを主要なエネルギー源のひとつとして積極的に活用していき、「次世代の環境エネルギーモデル」を創造していくと表明。
 
 北海道新幹線新函館開業や札幌延伸によって、地方経済の疲弊が深刻化するのでは、という懸念が広がっていることに対して、「新函館までの開業効果を道南をはじめ全道に波及させるための取り組みを進めるほか、各地の振興局を地域づくりの拠点と位置づけ地域が輝きを増し活性化していくことができるようにする」と語った。
 
 力強い地域経済を構築していくには地域を支える中小企業の活性化が重要だが、知事は「中小企業の経営基盤強化や建設業の新分野進出の支援、地域商業の活性化に向けた条例を制定しモデル的な取り組みを支援する。また、ものづくり産業の競争力を強化するため、東北地域との企業間連携も積極的に進める」と中小企業の育成に全力を挙げることも盛り込んだ。
 
 知事は、困難な時代を生き抜く人物のモデルとして十勝開拓の礎を築いた依田勉三を紹介。
 
「依田の生き様は、危機の中で挑戦の連続だった。冷害や害虫で満足な収穫が得られず過酷な状況が続いたが、それでも諦めず、麦や粟、野菜やコメ、豚や牛と生産を広げていった。幾多の失敗を乗り越えて、北の地が秘めた大いなる力を引き出していった」と語りかけ、「依田が設立した会社の名前(本サイト注・晩成社)には、将来必ずや成功してみせるという彼の強い決意が込められている。その努力は後に続く人の糧となった。挑戦なくして成功は有り得ない。北海道の価値を磨き上げ新たな地平を切り開こうとすることや、危機的な状況の中から『必ずや成功してみせる』という強い信念を抱き刻苦勉励を重ねていく依田の姿から多くを学ぶことができる」と居並ぶ道議たちを通じて道民に訴えかけた。
 
 知事は、「北海道に暮らす私たち一人ひとりが困難を乗り越えて確かな未来のために行動を積み重ねていくことが大切」と約30分間の執行方針演説を終えた。
 
 その後、総額2兆7410億円の12年度予算案など議案116件を大枠で説明。第一定例道議会は、議案調査のため29日まで本会議は休会され、3月1日から代表質問、一般質問が続き23日まで論戦が繰り広げられる。


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