高橋はるみ知事(57)が3選出馬を正式表明したのに続き、民主党の支援で農水省官僚で北海道出身の木村俊昭さん(50)も出馬を正式に発表することになった。これで、自民系VS.民主系の正面対決になるが共に「地域」を争点にする点でこれまでの知事選と違ってより道民に身近な問題が取り上げられる。両候補の地域認識と再生への処方箋が問われることになる。


地域の経済を最も良く認識しているのは、協同組織金融機関の信用金庫だ。かつて道内には33の信用金庫があったが、合併再編を経て現在は23。地域の隅々まで支店網を張り巡らせ、まさに地域経済に血液を送る心臓の役割を果たしている。
ところが、公共事業の削減や札幌一極集中の影響で地域経済がシュリンク、地域に血液を送る信金の使命が果たせなくなっている。それどころか信金の血管そのものも弱り始めている。
北海道信用金庫協会会長で大地みらい信金会長の北村信人さんは、地域の置かれている現実について断じる。
「地域の経済は成長期待が低下して企業の設備投資が殆どない状態。企業は、如何に今の設備で稼働率を上げるかを考えている。人口の減少や高齢化が激しく地域の先行きが見えない」
高橋知事は昨年、100年ぶりに14支庁制度を廃止し9総合振興局と5振興局に組織替えをしたが、この支庁制度改革についても、北村さんは猛反発。看板が変わっただけで地域政策が動いていないというのだ。
大地みらい信金は、一昨年7月に根室支庁(当時、現振興局)と包括連携協定を結んだが具体的成果はまだ出ていない。「お金がないのなら役所が持っている情報とか知恵を出してくれればいいのだが」(北村さん)と両者の温度差はなかなか解消できないようだ。
北村さんの主張は続く。
「北海道の振興のためには振興局に権限と予算をつけて地域が動く仕組みに変えないといけない。一次産業の成長拡大がないと、北海道の拡大はないですよ。道庁はその認識を持ちながらそういうところに手を差し出していない。水と食糧は今後、世界人口の拡大で確実に不足する。これを先読みして国とか道はやって欲しい。それが成長戦略だ。観光とか一次産業とか、ただ言葉だけにしか感じられない」
北海道の地域の実情は、まさに北村さんの声に代弁されている。地域の意欲にどう道庁が後押しをしていくのか。
4月10日に行われる知事選挙に向けて、「高橋VS.木村」の地域政策が争点になるのは間違いない。高橋さんが富山県出身、一橋大卒のエリート官僚だとすると木村さんは法政大から小樽市役所を経て農水省に転じた叩き上げの遠軽出身道産子官僚。久々に活気のある知事選になることは確かだろう。
(写真は3選出馬表明をした高橋はるみ知事と出馬が確実な情勢になった木村俊昭農水省大臣官房政策課企画官)

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