道の極東ロシア戦略に転換が必要になってきた。道はこれまでサハリンを拠点にロシアビジネスの創出に目を向けてきたが、今後は2年後にAPECが開催されるウラジオストクやハバロフスクなど大陸戦略が不可欠になっている。
道の極東ロシア戦略は、平成13年に道サハリン事務所が設置されて以来、ユジノサハリンスクを拠点に現地の経済・社会情勢などを道内企業に提供、サハリンでのビジネス展開のサポート体制を整えてきた。


道サハリン事務所と同じ建物内には、道内の企業や団体で作る北海道サハリンビシネス交流支援協会が運営する官民共同の「北海道ビジネスセンター」が設置され、活動を開始。サハリンでは既に道内建設会社が約20社進出、サハリン沖の天然ガス採掘のサハリン1やサハリン2も事業化が進み受注も一巡。
道ビジネスセンターは当初の役割は終えたと見て今年12月末で閉鎖されることが決まっている。道のサハリン事務所は引き続き活動を続けるものの、道の極東ロシアの窓口としては相対的な地位低下が避けられない。
新千歳空港からの航空便はこれまでユジノサハリンスク線だけだったが、今年12月からはハバロフスク線が週2便の定期便として就航することになっている。
このため、道の極東ロシアにおける経済社会情勢の情報収集拠点として、今後は大陸戦略が不可欠になる。なかでも2年後のAPEC開催が決まっているウラドオストクはAPECに向けて39億ドルの投資が進んでおり、ものづくりやサービス産業の分野で道内企業が進出できる可能性は広がっている。
道の高原陽二副知事は、「ウラジオストクやハバロフスクで道には新しいビジネスチャンスが出てくる。これらの地方からのロシア人観光客を道内に呼び込むとともに、保健医療関係、リゾート関連での協業化も可能性はある」と語っている。
極東ロシアには道銀と北洋銀行がユジノサハリンスクに拠点を置いているが、今後はこれら金融機関とともに道はウラジオストク、ハバロフスクでの事務所設置に動くものと見られる。

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