地場マンション管理会社として発足したエムエムエスマンションマネージメントサービス(本社・札幌市中央区、以下MMSマンションマネージメントサービスと表記)。北海道初の独立系管理会社としてマンションやビル、公営住宅など道内だけでなく全国展開を手掛ける堅実企業としての地歩を固めている。最近では、札幌市時計台や旧永山武四郎邸など公営観光文化施設の管理業務にも進出、ノウハウ蓄積に余念がない。ポスト30年を見据えた成長戦略などについて堂守貴志社長(46)に聞いた。
IMG_1910(写真は、インタビューに答える堂守貴志社長)

 ――1986年12月の創立で今年は32年目ですね。創立のきっかけから聞かせてください。

 堂守 実父の現会長が丸紅系のベニー管理サービス札幌支店の責任者をしていました。1972年の同支店立ち上げ時に新聞の募集広告を見て父はその会社に入り、実質的に北海道のマンション管理のノウハウを築いていきました。そういう意味では、父は北海道のマンション管理業のパイオニアと言えると思います。
 しかし、立ち上げから10数年経過して地元のマンションデベロッパーや入居者から『地元で信頼され、愛されるような会社を地元資本でつくってほしい』という声が強くなったため、その声に押されるように独立して創業したのが当社です。

 ――会長が何歳の時でしょうか。

 堂守 会長は、1945年生まれなので40歳になるかならないかの時ですね。

 ――文字通り北海道のマンション管理業の創始者とも言えますね。ところで、道内資本の管理会社は現在もたくさんあるのですか。

 堂守 地場資本のマンション管理会社は、ほとんど全国系の会社に吸収されるなどして大きくなっていません。地場の会社は、ごく限られた物件しか管理していないのが実状です。多くは、全国展開している東京資本の現地支店か子会社という位置付けです。マンション管理業の北海道トップ10の中で、当社のような地場資本で独立した会社は他に例がありません。

 ――会社の名称である「MMSマンションマネージメントサービス」の由来は何でしょうか。

 堂守 父がこだわっていたマネージメントのMです。父はマンション管理の根幹はマネージメントとサービスだという考えでした。社名もそれにしようとしたようですが、似たような社名の会社が中央区にあって類似の名前になってしまうので、それを避けるために頭にマンションのMを付けたそうです。

 ――マネージメントとサービスにこだわったということで、他のマンション管理業者との差別化が実現できたわけですね。

 堂守 まず、地元北海道のお客さまに受け入れられる価格を提供できたことがあったと思います。北海道は、寒冷積雪地なので電気代も灯油代も他地域よりも多く必要で、長い目で見れば凍結や水漏れ、油漏れなど様々な設備の更新にもお金が必要になります。早いサイクルでそういったニーズが発生するので、マンション管理にはコストのかかる地域性があります。いかに安くて良いサービスを提供するかにこだわって、様々な工夫をしてきたということだと思います。
 特に当社は、管理員や定期清掃、保守・設備点検など、大手では専門のビルメンテナンス会社に外注するような仕事や夜間の緊急対応を含めて自社スタッフで対応できるようにしています。自分たちで人材を育て、関連会社も含めてバックアップ体制をつくってきました。

 一般的に外注先を利用すればするほど経費も増えていきます。それがほとんどないということになれば、中間的な経費は削減できます。総合的なサービスを自分たちの手でやる自前主義の工夫があったと思います。
 全国に先駆けて、管理センターを24時間電話対応するようになったのも父が初めてだったと思います。最初は自宅にその電話があったそうで、かかってくると父が枕元で電話に出ていました。私が小さいころ、記憶はありませんがその電話を取ったこともあるそうです(笑)。そんな小さなサービスが徐々に受け入れられて、北海道の地場の不動産会社、例えばタカノやモリショーなどのデベロッパーに非常に良いタイミングで評価していただいた。新築が非常に多い時期だったので、それにうまく乗ることができました。



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