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 ――好調なインバウンドの入り込みをさらに加速するために、道経連はどういう役割を果たしていきますか。

 髙橋 観光産業は、地域雇用の受け皿としての役割を含め幅広い経済効果をもたらす。道の調査によると、15年度の総観光消費額は約1兆4300億円、観光消費による生産誘発額は約2兆900億円と推計され、いずれも5年前の前回調査を10%以上、上回った。また、雇用誘発者数は約19万人と推計されており、道内就業者数の約8%に相当する。

 国が20年の訪日外国人旅行者数の目標値を4000万人に引き上げ、15年度の来道外国人観光客が208万人に達したことから、北海道は20年度の来道外国人観光客受入目標を300万人から500万人に上方修正した(16年度実績は230万人)。

 目標達成に向けて、さらに外国人観光客を増加させるには、「新千歳空港等の混雑解消」「ニ次交通の充実」「宿泊施設や貸切バス乗務員不足の解消」「観光情報の多言語化」など受入体制の強化が不可欠。これらの課題解決のため、道内空港・港湾におけるCIQ体制の強化・充実、ニ次交通の充実に向けた関連インフラ整備などを国および道へ要望している。

 観光消費額増加に向けた取り組みも重要で、当会は17年度に旅行・運輸・ホテル・金融業の各代表者に大学研究者を加えたメンバーで「観光プロジェクトチーム」を立ち上げ、広域周遊観光と滞在型観光の充実による観光消費額増加と地域活性化の実現方策を議論している。観光消費額増加に向けては、17年11月に「北海道観光振興機構」や「ふらの観光協会」など道内6団体が正式に登録された日本版DMOの役割にも期待している。

 ――ものづくり産業の活性化は何十年も前から課題でした。

 髙橋 道内総生産に占める製造業の割合は、10%弱と全国平均の半分程度。加えて、それを支える部品の供給体制も十分ではない。ものづくり産業は、雇用の確保のみならず力強い産業構造の構築に寄与することから、その振興に向けた取り組みをこれまで以上に展開する必要がある。

 当会は、小学校から段階的に「ものづくり」への関心を高め、将来にわたる北海道の「ものづくり」人材を育成するため、各教育ステージ(小学校~大学)に応じた「ものづくり」人材にかかる体系的な職業教育を継続するように道へ要望している。また、道内の工学系大学及び高専が中心となって進める会「COCプラス事業」は理工系学生の道内就職率向上を目指しているものだが、当会も同コンソーシアムに参画しており、委員として様々な議論に参加している。

 宇宙関連産業の推進については、射場として優位性を持つ大樹町に国内第3の射場を整備するための活動を従来から実施中だ。射場を整備した上で、宇宙関連産業の集積及び周辺産業の振興を目指す。自動走行に関する国への要望として、道内を冬道自動走行の開発拠点とするため、政府等へ冬道の自動走行を「官民ITS構想ロードマップ」に明記することや冬道自動走行の技術開発拠点化に向けた支援を行うこと、自動走行公道実証実験の実施に向けた支援を行うことを国に要望している。

 ものづくり産業に関連して、私は北海道をIoT(モノのインターネット)の先進地にしたいと考えている。経済分野だけでなく医療や福祉など広範囲な分野で北海道こそIoTの普及に最も適した地域だと思う。当会としてもIoTのロードマップを作成する考えだ。



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