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北海道リアルエコノミー

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 「北のミュージアム散歩」は、道新文化センターのノンフィクション作家を育成する「一道塾」(主宰・合田一道)の塾生が書いた作品を連載するものです。道内にある博物館、郷土歴史館、資料館などを回り、ミュージアムの特色を紹介しながら、ミュージアムの魅力やその存在する意味を問いかけます。
 第16回は、千歳市の「さけます情報館」です。ぜひご愛読ください。

(合田一道)

■第16回 「千歳さけますの森 さけます情報館」―豊かな湧水に育まれる森―

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情報館の外観

 千歳市街から道道16号支笏湖スカイロードを6kmほど支笏湖方面に進むと、さけます情報館の誘導表示板が見えてくる。それに従い右折して、鬱蒼とした林の間を更に2km進むと、情報館に到着する。
 この館は、「水産研究・教育機構北海道区水産研究所千歳さけます事業所」の広報展示施設である。

 平成28年(2016)にリニューアルされた情報館は、展示棟、体験棟の二棟から成り館内はバリアフリー。休憩スペースもあり居心地の良い空間だ。白いタイル貼りの展示棟に入る。ここではふ化事業の歴史や作業工程、さけます類の生態を、パネルや模型などを使い、分かりやすく解説している。

 明治21年(1888)、北海道庁初代水産課長伊藤一隆により、豊富な湧水があるこの地に官営の「千歳中央ふ化場」として建設された。これを機に北海道各地でふ化場の建設がすすめられ、それまでの捕獲規制や産卵保護から「人工ふ化放流事業」へと大きく転換していった。以来この地は我が国の「さけます人工放流ふ化事業」の発祥の地となった。

 現在この事業所では捕獲、蓄養、採卵、卵管理、ふ化、飼育、放流が行われ3~4月に、体長約5センチの稚魚3,000万尾を放流しているという。全ての稚魚に耳石が取り付けられ、遡上した魚はその放流時期、ふるさとの川が判断できる仕組みだ。回帰率は約4%と成果を上げている。

 館内中央に設置されている6平方メートルの大型水槽には、紅サケの幼魚がゆったりと泳いでいる。同じ年齢の紅サケでも個体差が随分あるようだ。食卓でおなじみの魚たちをガラス越しに見ていると、心が和んでくる。サケの実物大モデルが置かれている。実際にこれを持ち上げてみると、意外に重く、鼻先や歯はのこぎりのように鋭い。

 次に体験棟は、明治21年の設立当時のふ化場を再現したもので、三角屋根に茶色の横板貼りの外観はレトロな佇まい。棟内に入ると、デジタルコンテンツや大画像システムが設置され、大型スクリーンにサケのふ化の瞬間や遡上のシーンなどが、映し出されている。
 サケの生態をゲームで学び、当館のキャラクター「さけますみちゃん」と記念撮影。ミニ飼育池では稚魚に餌やり体験を、タッチプールではサケとサクラマスの幼魚に触れる。しかし千歳川湧水と同じ摂氏8度の水温は、冷たくて長くは手を浸けていられない。

 順路の最後はこの施設ならではの稚魚の放流体験。説明文に従いカップを持って外へ出ると、
「フタを開けて稚魚を一名様当り3尾すくってください」と書かれた箱があり木の蓋を開けてみると、中に体長5~6センチのサクラマスの稚魚がぴちぴちと泳いでいる。用意された網で丁寧に掬い取ったつもりだったが、元気いっぱいの稚魚2尾が飛び跳ねて、残念ながら地面に落ちてしまった。

 残りの魚はパイプに流し、千歳川へ放流したのだが、海へ下がる時期は来年の春。成長して戻ってくるのは、再来年の10月下旬頃になるという。この放流体験は1~5月まではシロサケ、6月~12月まではサクラマスで行われる。 
 子供から大人まで魚と楽しいひと時を過ごせるこの情報館は、ちょっと辺鄙な場所にあるが、支笏湖近辺の散策の折に気軽に立ち寄りたい。

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展示棟中央の紅サケの水槽

利用案内
所 在 地:千歳市蘭越9番
交通機関:JR千歳駅から 車で約15分
     北海道中央バス支笏湖行き乗車25分 烏柵舞橋下車徒歩20分
電  話:0123-23―2804
開館時間:10:00~16:00
休 館 日:火曜日(祝日の場合は開館) 年末年始(12月27日~1月5日)
入 館 料:無料

付近の見どころ
 千歳川の支流内別川湧水が、名水百選に選ばれたことを記念して、千歳市の蘭越浄水場に作られた名水ふれあい公園。支笏湖スカイロード沿いにあり、おいしい水が飲める。管理棟には、千歳に最初に降り立った飛行機「北海」第一号の原寸大模型が展示されている。

文・写真 渋谷 真希

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