札幌国際大学学長の濱田康行氏(62)は、北海道大学大学院経済学研究の教授時代から1年間の株価、金利、為替の動向を予想する「ハマダ予想」を10年間続けている。勝率は65%というからかなり高い。さて今年はどうなるか。


 株、金利、為替は経済全般の反映、つまり鏡でもある。よって、まず日本の経済全般について、ハマダ予想はどうか。
 内需は冷え込んだままと見通す。所得が伸びず年収200万円以下の家計は増加しており、金持ちの家計は増税への警戒心から消費に防衛的。
 濱田氏は「高価な福袋が売れたというが、売る方の景気づけのように見える。エコ減税終了の影響は春以降、相当長期に継続する」
 頼りは「輸出と設備投資」。輸出は、中国、アメリカ、アジアの順番だが、アジア経由で中国、中国経由でアメリカという経路もあり、中国依存は高まる一方。設備投資は、好業績の大企業が主導。中小企業への波及、関連投資も見込め、業界によっては少し明るくなる。
 濱田氏は、「政府や日銀の財政政策、金融政策がまるでない状況下、経済界が自力上昇している構図。今年3月期の増益予想企業が上場会社の80数%にもなるということは聞いたことがない。空前の企業収益だ」という。
 しかし、現在の人的リストラ、賃金据え置き、原価調整などで利益を出すことは限界と見ている。そこで法人税減税→利益→投資という図式になるが、これは財政支出と同じこと。
「日本の法人税が欧米に比べて高すぎるという意見はかねてより財界にあるが、欧米に比べて大企業が地域貢献や環境への対応など社会的責任を果たしていない分、国や公共が行っているという説明もあり、こちらの方が説得力はありそうだ」(濱田氏)
 景気は二極分化がさらに進行するとし、アジア化・グローバル化に成功し、人件費の低下、マーケットを確保したA組、そうではないB組というように。中小企業はどちらの組についているかが業績を左右する。
 そんな中で、地方と中小企業の厳しさは続く。
「特に北海道は明らかな人口減となって札幌以外の地方都市の停滞が続くだろう。その中でどう生き抜くかが経営者の腕。不況だから多くの企業が苦しいのではない」(同)
 TPP(環太平洋経済連携協定)の行方はどうなるか。今の日本や農業団体にアメリカ連合軍は止められず、できるだけ参加を引き延ばして不利にならない条件を引き出せるかにかかっている。濱田氏は「食の安全を守るための国民的議論があって良い」と強調する。
 経済全般のハマダ予想の結論はこうだ。
「アメリカにとって言うことをきかない国は中国だけだから、かなり対中政策には気を使うだろう。ユーロ圏は金融危機、銀行破綻の心配があるが、ユーロ内の意思統一が堅く、これ以上の混乱は避けるだろう。結論として、中国の極端な減速がない限り前半6ヵ月の景気は維持できる」
 次回は、こうした経済状況の中で、株、金利、為替の「ハマダ予想」を詳報する。


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