過去3年間続いた道央圏のガソリン安売り合戦が収束している。新日本石油と新日鉱ホールディングスが今年4月に経営統合、「JXホールディングス」が誕生したころと軌を一にする。札幌圏内でJXのガソリンスタンド(JOMOとENEOS)は約6割のシェアを握るが、最大手のJXが安売りをやめたことによって道央圏のガソリンスタンド業界は小康状態に入った。ただ、JXは地方で安売り展開に入っており、今後道央圏以外でのガソリンスタンド業界の淘汰再編が加速しそうだ。


道央圏のガソリン販売のマージンは、過去3年間リッター当たり4円程度で推移してきた。全国平均が11~12円のころに道央圏はマージンが半分以下という状態だった。
その過程で丸紅や伊藤忠、三菱商事など商社系の直営ガソリンスタンドが撤退したり、新日本系の太平洋石油販売と勝木石油が合併して「北海道エネルギー」が誕生、新日鉱系で地場の雄と言われた新北光石油が新日鉱の出資を受けるなどガソリンスタンド業界の再編が一気に進んだ。
民族系6社の石油元売が狙ったガソリンスタンド業者への出資子会社は、道内地場業者の再編淘汰を伴いながら、全国に先駆けてまず道央圏で完成形になったと言われている。
最大手のJXが道内で次に再編淘汰を仕掛けるのが、道北圏や道東圏とされている。紋別や北見、釧路では既にJXのガソリンスタンドが安売り展開に入っているという。
地方のガソリン価格は比較的高止まりしていただけに、かつて道央圏で続いた安売り合戦が飛び火すれば、地方に多い独立系のガソリンスタンドは大きな痛手を受けることになる。「全国平均の半分のマージンしか入らなければ、ガソリンスタンドの場所代程度しか稼げない状態になりかねない。安売りの嵐が3年も続けば地方のガソリンスタンドは持たない」と札幌市内の地場業者のトップは言う。
道央圏ではこの3年でガソリンスタンドの閉鎖が相次いだが、今後地方都市でこうした現象が再現する可能性は高い。

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