野口観光グループ(本社・登別市)とコープさっぽろグループ(本部・札幌市)は12日、事業を補完し合い相乗効果を高める事業連携協定を締結した。生活協同組合と株式会社がこうした事業連携をするのは珍しい。野口観光グループのホテルや旅館で使う食材や消耗品類の共同仕入れを行ったり社員・職員の接客・接遇を高める教育人事交流、災害時にインフラを相互活用するなど幅広い連携を構築する。(写真は、事業連携協定書に調印した野口秀夫社長=右と大見英明理事長)
 
 協定締結のきっかけは、コープさっぽろの大見英明理事長が野口観光の温泉ホテルを頻繁に利用、食材や人材など幅広い交流が相互の成長に繋がると強い思いを抱いたこと。「いつか野口観光と事業連携する機会があると感じていた時に、たまたま野口(秀夫)社長とお会いして意気投合、トントン拍子で話が進んだ」(大見理事長)という。
 
 事業連携の中身は、コープが扱う商品や野口観光が手掛けている農場(Qちゃんファーム等)で生産する食材を相互に取り扱うなど仕入れの補完や共同化によるコスト削減のほか、グループ会社の旅行事業や給食・社食の共同化、接遇・接客の向上を進める教育人事交流、さらに災害時や緊急事態が起きた際に相互のインフラを活用した復興支援を行うことなどが盛り込まれている。
 
 野口社長は、「株式会社でも生活協同組合でも経営という面では同じ。大見理事長の下で展開しているコープさっぽろの事業には見習うべき点が多い。実際、既にコープの事例を当社に取り入れた例もある。今後新しい連携もできるのではないかと期待している」と語った。
 
 野口観光グループは、登別、洞爺湖、層雲峡など道内14ホテル・旅館のほか箱根や奥湯河原にも3ヵ所の施設を展開している。食材やトイレットペーパーなど消耗品類は個別に仕入れているが、本州を除く施設の近くにはコープ店舗があり、そこからのグループ一括仕入れなども検討するという。
 
 株式会社と生活協同組合、観光業界と流通小売業界といった異業態、異業種の本格的な事業連携で相互の事業機会創出、コストダウンとともにイノベーションにどうつなげるかも注目される。


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