マックスバリュ北海道の社長で10月末に急逝した山尾啓一氏(60)の「お別れの会」が5日、札幌パークホテルで開かれた。山尾氏は、2009年4月に同社社長に就任、業績回復に道筋を付け、同社の戦略的食品スーパーとも言える「ザ・ビッグ」展開を積極的に進めてきた。会場には祭壇とともに故人の愛用していた遺品の数々や生前の生き生きした姿を撮影した写真もパネル展示され、取引先など関係者約1000人が会葬、故人を偲んだ。
 
 「お別れの会」は第1部と第2部に分かれ、第1部はイオン関係者が集まり会の模様がテレビ中継されて山尾氏の前任地だったマックスバリュ東海やマックスバリュ北海道の道内各地の拠点に流された。
 
 第2部では取引先や同業のスーパー関係者などが参集、パネル写真や映像で生前の山尾氏が映し出され、集まった人たちが最後のお別れをした。
 
 約1000人を前に、後任社長に就任した出戸信成氏が挨拶、「山尾社長が進めてきた成長軌道への道を実現させ、社業に専念していく」と故人の遺志を引き継いでいく決意を語った。(出戸氏の挨拶全文を後述)
 
 その後、出戸氏と名刺交換する関係者が長蛇の列を作り、約500人が出戸氏と挨拶を交わした。
 
 イオン出身で山尾氏とは同志社大学の同窓でもあった植村忠規イオン北海道会長は、「彼は仕事には厳しい面があったが、人格的にもみんなに好かれる人だった。旧札幌フードセンターの人たちとも随分馴染んで『ザ・ビッグ』に転換しながら売場も良くなっていた矢先で、本人が一番残念がっているだろう」と語った。
 
 また、旧札幌フードセンター社長で現在、マックスバリュ北海道相談役を務める出戸一成氏は、「元気だったのに残念だ。木を植える活動などもきっちりとする人だった」と哀悼の言葉を口にしていた。
 
出戸信成社長の挨拶は以下の通り。
 
「山尾社長が10月29日午後1時ころ、体調を崩され札幌の自宅で急逝された。本来ならすぐに皆様とのお別れの場を当地北海道で開催するところでしたが、ご遺族のご意思により故郷の京都に戻られ、ご親族に囲まれて密葬の儀を終えた次第です。

 皆様にはご容赦申し上げ、本日改めてお別れの会を開催させていただきました。本人及びご遺族になり代わりまして改めて生前に賜りましたご厚誼を深謝申し上げます。
 
山尾啓一氏は当社の社長として就任し3年半が経とうとしていました。着任当時は当社の業績も厳しい状況でしたが、皆様のご支援などによって着実に業績を回復させ2年ぶりの新店を開店するほどになりました。会社の今年のスローガンも基盤固めから成長軌道とし、さあこれから成長に向けて頑張るぞ、という矢先の出来事でした。
 
 前日まで仕事をこなしておりました。会場の後ろにあるパネルには前日の滝川での植樹祭の写真があります。突然のことで会社に対する思いも道半ばだっただろうと思います。
 
 このたび11月12日、当社の臨時取締役会で私、出戸信成が代表取締役社長として就任することになりました。山尾社長が進めてこられた成長軌道への指針を実現させ、社業に専念していく所存です。
 
 当社、マックスバリュ北海道は2000年10月、2社の合併により誕生しました。設立当時の目標は売上高1000億円、より強いスーパースーパーマーケットの展開、北海道有数のリージョナルチェーンを目指していくことでした。しかしまだ当初の目標は達成されていない。成長軌道を確実なものにすること、そして設立当初の目標を達成しさらに飛躍させていくこと。これが山尾社長、そして設立当時の先人たちから当時末席の役員だった私に課せられた使命だと思っています。成長へ、目標の達成に向けて全身全霊社業に専念してまいります。どうぞ皆様のこれまでと変わらぬご支援ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。本日は誠にありがとうございました」


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