道内のホームセンター業界が、LIXILビバ(埼玉県上尾市)やホーマック(札幌市)の大型店建設で活況を呈している中、新たな2つの動きが注目されている。一つは新潟市に本社を置くコメリが苫小牧に1万㎡級の大型ホームセンターを建設する計画。もう一つは道内地盤のジョイフルエーケー(札幌市)の社長に木村勇市会長が復帰したこと。コメリは道内3店舗目の出店で道内市場でのシェア確保を目指したもので、ジョイフルエーケーのトップ人事は株式公開を睨んだ動きと見られる。(写真は、苫小牧市のコメリ出店予定地)

  コメリの進出予定地は、苫小牧市新開町2の国道36号線に面した約3万㎡の土地。地元苫小牧市の杉山不動産が市から8億6000万円で今年8月に取得した。
 
 コメリは、新潟市に本社をホームセンターで全国で沖縄県を除く46都道府県に出店しており、総店舗数は1102店。道内では、旭川店(旭川市永山8条4丁目)と音更店(河東郡音更町木野大通西)の2店舗を展開している。
 
 DIY用品や園芸用品を核商品にしたホームセンターがコメリの特長で、苫小牧店は売場面積1万㎡級の大型ホームセンターになる見込み。オープンは2015年春とされている。
 
 進出予定地は、イオン苫小牧ショッピングセンターに近く家電量販店などの商業集積が進んでいる地区の東端にあたる。苫小牧市内にはホーマックが4店舗を展開しているほか、地元のフジタ産業が「ハッピーワン」2店舗の営業をしており、コメリが大型店をオープンさせれば一段と競争は激しくなりそう。
 
 一方、ジョイフルエーケーは今年7月20日付で木村勇市会長が社長に復帰した。同社は、2001年8月に設立されたホームセンターで札幌の住宅資材商社、キムラ(大証ジャスダック上場)と茨城県土浦市のジョイフル本田、新潟県三条市のアークランドサカモト(東証1部上場)の合弁会社。出資比率はキムラ51%、ジョイフル本田とアークランドサカモトがそれぞれ24・5%ずつ。
 
 ジョイフルエーケーは売場面積1万㎡級の大型店として屯田店(札幌市北区屯田8条5丁目)、大曲店(北広島市大曲工業団地)、帯広店(帯広市東7条南16丁目)の3店と小型店のグッドーを伊達(伊達市)と白樺(帯広市)で展開している。
 
 12年3月期の売上げは164億6900万円、営業利益5億1600万円。親会社に当たるキムラの単体売上げが111億円のため規模的には親子逆転している。
 
 キムラ会長の木村勇市氏は、昨年2月にジョイフルエーケーの社長ポストを息子でキムラ社長を務める木村勇介氏に譲ったが、今年7月に再び社長に復帰、勇介氏は取締役に退いた。わずか1年5ヵ月での社長復帰に様々な憶測が広がるが、さる経済人は「ジョイフルエーケーの上場を睨んだ布石ではないか」と指摘する。
 
 上場会社2社の社長を兼務することはできないため、勇市氏の社長復帰で上場を一気に進めることは十分に考えられる。また、道南方面への出店も想定され、上場と出店を同時進行するには事実上の創業者である勇氏の手腕が必要という判断があったのかもしれない。


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