流通業の製造・配送・販売のサプライチェーンについて研究する「MD研究フォーラム・札幌」が6月29日札幌パークホテルで行われた。主催は、MD研究フォーラム実行委員会で後援は生活協同組合コープさっぽろと生活協同組合連合会コープ東北サンネット事業連合。メインテーマは『震災復興とMDの変化について』。メーカーや中間卸、コープ関係者など約700人が参加した。(写真は、パネルディスカッション)
 
 講演ではライフスケープマーケティング会長の齋藤隆氏が『東日本大震災と日本の流通業の課題』をテーマに、21世紀型食卓潮流の変化に言及。その中で、食品メーカーと食品小売業の共通課題として「マーケティングとマーチャンダイジングを統合し、カテゴリー進化させる食品小売業がリーダーシップを握り、カテゴリーの再構築と進化が食品小売業と食品メーカーの最も重要な協働課題になる」と強調した。
 
 続いて『東日本大震災と復興後の流通業の課題』をテーマにバネルディスカッションが行われた。
 
 三菱食品リテールサポート本部長の原正浩氏は、「震災のような有事に備えて在庫の備蓄や運送業者とのコミュニケーション、センター機能が失われたときにどうするかなどBCP(ビジネス・コンティニュイティ・プラン=事業継続計画)を日常から体質化しておくことが大事。また、震災で生活者の需要の潮目が変わった。絆重視で内食指向など食生活が大きく変わってきたことが、震災後のPOS(販売時点情報管理)状況でわかる」と語った。
 
 また、コープさっぽろ理事長の大見英明氏は、「震災直後に宅配車8台とタンクローリー1台をみやぎ生協に送った。コープさっぽろには、廃食油を使う宅配車が350台あり3ヵ月分の廃食油備蓄がある。現地で廃食油の宅配車両が活躍でき、民間備蓄エネルギーとして廃食油があることが分かったのは大きい。また、センター機能を集約してなるべく在庫を持たない傾向があったが、一定の在庫を持った方が良いのではないか。特に、水、コメ、エネルギーが必要だ」と強調した。
 
 そのほかにも、「宅配需要増えており、その量も増えている。少しでも家庭内で食糧を備蓄しておこうという暮らしの変化が出ている」(みやぎ生協専務理事宮本弘氏)、「震災で売れる商品に絞って生産すると生産効率上がり売り上げは減るが利益は上がった。無駄な競争が抑圧された結果だ。ビールでは6缶パックを4つにした24缶パックが一般的だが、本当にそういう包装形態が必要なのか。製配販が一緒に考えていく必要がある」(アサヒグループホールディングス常務川面克行氏)などの意見が出されていた。
 
 分科会ではサンキュードラッグやヱスビー食品、サッポロビール、伊藤ハムデイリーなどから事例発表があった。


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