ラルズが17日に独占禁止法違反(優越的地位の濫用)の疑いで公正取引委員会の立ち入り検査を受けた。公取委は押収した資料を持ち帰り、違反があったかどうかの判断に約1年をかけて調べる。ラルズでは、「法律違反はないと認識しているが、検査には全面的に協力する」(古川公一常務)と述べた。道内の大手流通では、2004年にポスフール(現イオン北海道)が優越的地位の濫用による不当値引きで排除勧告を受けている。
 
 ラルズは、食品スーパーで全国2位のアークス全額出資子会社。前身の大丸スーパーが1989年に金市舘との合併で誕生しその後、93年7月に地場スーパーとして初めて店頭市場に株式を公開した。
 
 アークスはラルズと帯広・釧路を地盤とする福原が経営統合した持ち株会社で今年は10周年に当たる。
 
 昨年10月には北東北のユニバース(本社・青森県八戸市)、11月には網走の篠原商店をアークスと経営統合し売上高は4000億円を超える規模になった。
 
 M&Aによる規模拡大によって卸やメーカーからの商品調達力が強まり、他の食品スーパーよりも低価格で仕入れることが可能になり、それがアークスグループの力の源泉になっていることは事実。卸などからの販売奨励金も利益を支える一端になっているようだ。
 
 今回の公取委の立ち入り検査は優越的地位濫用の疑いがあるというもので、具体的な違反事実は不明。ただ、同業者の中には、「(アークスの)規模拡大によって内部管理体制が追い付いていないのでは」という声もある。
 
 ラルズの競争力が生まれた原点は、月寒東店で実施された水源地オペレーションと呼ばれる店舗テコ入れ策。低価格に徹したマーチャンダイジングは、その後のビッグハウスへの成功へと結びついていった。
 
 低価格路線の追求が優越的地位の濫用に抵触するのかどうかは公取委の判断によるが、店頭公開から東証2部、1部へ規模拡大を伴いながら昇格したアークスにとって「水源地オペレーションのDNA」は変容せざるを得ない時期にきている。


この記事は参考になりましたか?