帯広を中心とした十勝地域で食品スーパーを展開している「いちまる」がジャスダック上場で同じく帯広に本社を置くダイイチと資本・業務提携することになった。いちまるの第三者割当増資をダイイチが引き受け、来年から共同仕入れや物流の統合などを進める。いちまるは、もともとアークス設立時のパートナーと目されていたが離脱、その後卸売スーパーの津司とも提携していたが、結局同じ地域で展開するダイイチと手を結ぶことになった。(写真は帯広市のダイイチ本社)
 
 ダイイチはいちまるの株式を連結決算の対象企業にならない19%まで保有すると見られる。
 
 いちまるの決算は、2009年度売売上高が108億8700万円、経常利益4100万円、10年度同106億4100万円、同500万円で2・3%の減収、87・8%の減益になっている。
 
 ダイイチは2009年度売上高273億9900万円、経常利益4億4600万円、10年度同271億9200万円、同4億3500万円で0・8%の減収、2・5%の減益。
 
 ダイイチは食品スーパーの全国団体「AJS」グループに加盟しており、同グループのプライベートブランド「生活良好」も揃えている。AJSグループでは価格競争の激しい関西地区で展開している関西スーパーのノウハウなどを取り入れることもでき、グループ間の情報交換も活発。
 
 一方のいちまるは、ラルズが最初に資本業務提携した食品スーパーで、アークスが生まれる前の構想では「ラルズ―いちまる」連合がベースになる予定だったが、いちまるが途中離脱、このためラルズは同じ帯広の福原と業務提携してアークスへと突き進んでいった。
 
 いちまるは、その後全日食と関係が濃い津司と提携し、卸売スーパーのFC(フランチャイズ)店を1店舗運営していたこともあった。
 
 道内の食品スーパーはアークスとコープさっぽろ、マックスバリュ北海道の3強による寡占化が進み、合わせて食品卸会社の札幌集約や統合によって地方で展開する食品スーパーは価格競争と商品調達不安などに晒されている。ダイイチは旭川、札幌に進出しており今年12月には札幌市内3店舗目の発寒中央店もオープンさせるなど地力があるが、いちまるは十勝圏のみの14店舗で次の一手が見出せない状況だった。
 
 ダイイチは、「他の食品スーパーが帯広に進出するのを防ぐのが狙い」と語っている。釧路ではマックスバリュ北海道が格安価格の「ザ・ビッグ」で価格攻勢を仕掛けるなど、釧路全域がディスカウント地帯になっている。ダイイチといちまるは、帯広など十勝地域での価格戦争を未然に防ぎたい思惑が一致したようだ。
 
 両社は年明けにも共同仕入れや物流合理化でコスト削減を進め、3強とは一線を画すグループ化を目指していく。


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