北海道胆振東部地震によって食品小売り各社が経営に打撃を受けそうだ。建物の損傷のほか、停電によって冷凍食品などの廃棄が発生したためだ。各社は被害額の最終集計を急いでいるが、スーパーや総合スーパー、コンビニエンスストア、ドラッグストアなど冷食関連を扱う企業の被害額は、売価ベースで総額150億円を超える額になりそう。(大地震による停電で6日の営業を取り止める店舗も多かった=写真)

 地震による建物の損傷は、震源地に近い勇払郡むかわ町の「コープさっぽろパセオむかわ店」や沙流郡日高町の「マックスバリュ富川店」、日高郡新ひだか町静内末広町の「イオン静内店」であったが、イオン静内店を除いて通常営業に入っている。

 食品小売り各社が最も影響を受けたのは、停電によって冷ケースの電気が止まり、アイスクリームや牛乳・乳製品、冷凍食品などを廃棄せざるを得なかったこと。一部小売りでは、廃棄するより詰め掛けた買い物客に無料あるいは低額で配布した方が良いという判断を下したところもあるが、多くの小売りは廃棄を選択した。

 コープさっぽろ(本部・札幌市西区)の大見英明理事長は、18日の日経景気討論会で「被害は10億円にのぼる」としたが、他の企業からは「コープさっぽろ全108店舗の扱い量から、15億円を超える被害が出ているのでは」という声も出ている。

 また、総合スーパーやコンビニ各社、ドラッグストアなども自家発電で冷ケースなどの電力を賄える店舗は少なく、コープさっぽろ同様の被害が出ているのは間違いない。食品を扱う小売りだけでも道内全体で150億円を超える被害があるという見方も。

 経営に与える影響は大きいが、一部企業は地震保険などに加入、廃棄処分した商品の保険支払いがあるため経営へのダメージは緩和される。ただ、北海道は地震が少なかったため、保険に加入していない食品小売りもあるとみられる。食品小売り各社の店頭は欠品がほぼ解消、通常の売り場が戻っている。例年の9月並みの売上高を確保できそうだが、通期でどれだけの影響が出てくるのか各社は見通せずにいる。


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