コンビニエンスストアとは思えないような無印、無看板でコーポレートカラーのオレンジも使っていない「セイコーマート」が24日、札幌市北区の北海道大学キャンパス内にオープンした。緑の多い構内の景観に溶け込むようにデザインされ、ガラスのカーテンウォールにはハルニレの木々が映る。北海道の知が集約する北大に出現したこの店舗は、コンビニ進化形を体現することになりそうだ。※動画はこちらの画像↓をクリックしてご覧ください。

IMG_5025(写真は、「セイコーマート北海道大学店」の店舗前で行われたテープカット)
IMG_5062(写真は、店舗の外観)

 北大北13条門から西に伸びるイチョウ並木の通りを突き抜け、三叉路を左に曲がってしばらく行くと「セイコーマート北海道大学店」がある。外には看板や広告板がなく一見すると先端技術ラボ、あるいはおしゃれなカフェのイメージ。

 建物は2階建てで、1階が売り場、2階はイートインスペースとキッチンラボ、テラスで構成されている。延床面積は約144坪(476・13㎡)、売り場面積は約106坪(350㎡)で通常のコンビニに比べ2倍の広さ。扱い品目は約3500品目。北大のオリジナルグッズを並べたコーナーのほか、オリジナルしおりももらえる。

 建物の設計、施工は土屋ホーム(本社・札幌市北区)が担当。工法はJ建築システム(同・同市南区)が開発したJブリッド工法を採用、木と鉄のハイブリッドで大空間を実現した。また、北海道ガス(同・同市中央区)の固体酸化物形燃料電池(SOFC)を業務用として北海道で初導入、発電とともに排熱を店内調理の「ホットシェフ」給湯に利用する。

 さらに、北ガスと北大調和系工学研究室(川村秀憲教授)との共同研究である「深層学習を活用したAI(人工知能)搭載のガスロードヒーティング(融雪)」も導入して店舗前と2階テラスに配置している。いずれもエネルギー量を30~40%削減できるほか二酸化炭素排出量を40%削減でき、コンビニそのものが新技術の実証現場にもなっている。

 この日、店舗前で行われたセレモニーには、関係者約50人が出席。北大の名和豊春総長は、「店内の看板や広告板には、2004年9月の台風18号で倒木したハルニレが使われており、この店舗は北大の歴史が生かされている。北大構内にはジンギスカンパーティをする場所がなかったが、“ジンパ”は北大の精神。今回、ジンパができる場所ができてうれしく思う。学生、教職員、地域の人たち、観光客にも幅広く使ってもらいたい」と挨拶した。

 セコマ(本社・札幌市中央区)の丸谷智保社長は、「建物も設備もオール北海道で作り上げた。食材も含めると北海道産がふんだんに使われている。今後は、北大と連携して、北大が開発した農産品などをこの店舗で商品化していきたい。教職員、学生が集うだけでなく道民、観光客が自由に行き来できる空間としてこの店舗を利用してほしい」と話していた。

 店舗は直営で、研究者も多いことから年中無休の24時間営業。従業員はパートを含めて約20人。セコマは北大に土地の賃借料を払う。
IMG_5033(写真は、徹夜で並び一番乗りした学生。この学生はかつ丼を購入した)
IMG_5037(写真は、2階のオープンテラス)



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