コープさっぽろと酪農学園大学は12日、七飯町にバイオガスの実験プラントを建設すると発表した。コープさっぽろの函館地区店舗から出る生ゴミと大沼周辺の酪農家から集めた牛糞を原料にするもので、得られるバイオガスをエネルギー源として使い、副産物の液肥を有機肥料として酪農家の牧草育成や野菜農家に供給する。NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の補助を受けた事業で、地域循環型再生エネルギーシステムとして完成させ、コープさっぽろは2年後には道内6ヵ所で商業プラントを設置したい考え。(写真は記者会見する大見理事長=左と干場教授=中央)
 
 実験プラントは、七飯町の土地約4800㎡をJR北海道から賃借して今年9月から建設、来年3月に完成させる。投資額は5億円でNEDOが3分の2、コープさっぽろが残り3分の1を負担する。
 
 原料となる食品残渣は、コープさっぽろが函館で展開している11店舗と子会社を通じて資本参加している魚長20店舗から集め、牛糞はコープさっぽろと取り引きのある「大沼牛ブランド」の牛を飼育している酪農家から集める。
 
 発酵槽では摂氏37度程度と牛の胃袋内と同じ温度でメタン発酵、60%のバイオガスと40%の二酸化炭素を発生させバイオガスのみを精製して純度を高める。初の取り組みとして、発酵槽にコープさっぽろが生成して使っているバイオディーゼル(BDF)の副産物であるグリセリンを加える方式を採用。
 
 メタン発酵時にグリセリンを投入することによってバイオガスの発生量が格段に多くなるという。
 
 また、バイオガス発生の過程で出てくる硫化水素は、発電機やボイラーを腐食させる原因になるが、純酸素を加える生物脱硫で硫化水素の発生を抑える試みも取り入れる。
得られるバイオガスは、当面実験プラントのエネルギーとして利用、プラントが本格稼動を始めた段階でコープさっぽろ店舗の照明や冷蔵・冷凍用として電気に変わるエネルギー源として利用していく。
 
 ガスを採取した後の硝化液は、良質な有機肥料になるため、酪農家の牧草育成やコープさっぽろが函館地域で契約している畑作農家などに有償で販売、生産された野菜類はコープさっぽろが買い入れて「ご近所野菜」として販売する循環型社会モデルを目指している。
 
 プラントの処理能力は、牛糞が1日当たり15㌧、生ゴミは同3~4㌧で液肥は日産18㌧。実験は、3年間継続されて、効果が確認できた時点でコープさっぽろが子会社のエネコープを通じてプラントを取得する。

コープさっぽろの大見英明理事長は、「地球環境の面から地域単位で循環できるエネルギーに転換していく取り組みのスタートで、これを機会にエネルギーの内製化を進めていきたい」と語った。
技術面のサポートを担当する酪農学園大学の干場信司教授は、「地域の廃棄物を資源にした生産から消費までの循環型モデルは、これまでのバイオガス利用の枠組みを大きく変える取り組み」と強調した。