米小売り大手のウォルマートが西友売却の方針を固めたという。流通業界は激しい競争を繰り広げているが、一進一退の競争均衡とも言える状態。そこに西友売却という不安定要因が入れば、一気にゲームチェンジと言えるような状況が現実化するかもしれない。北海道も例外ではなさそうだ。ただ、ウォルマートは西友継続の考えもあるなど情報は錯綜している。IMG_6646(写真は、西友平岸店)

 西友は、2002年に米ウォルマートと資本・業務提携、08年に完全子会社になった。北海道では札幌市内の「元町北24条店」(東区)、「平岸店」(豊平区)、「清田店」(清田区)、「西町店」(西区)、「手稲店」(手稲区)、「宮の沢店」(西区)、「厚別店」(厚別区)、「福住店」(豊平区)、「旭ヶ丘店」(中央区)の9店舗を展開している。
 
 今から4年前の2014年10月末に西友は、全国30店舗を2015年度以降に順次閉店することを明らかにしたことがある。当時、不動産関係者の間で出回ったとされているのが店舗や売却候補のリスト。道内で閉店や売却候補になっていたのは「元町北二十四条店」、「旭ヶ丘店」、「西町店」の3店舗だった。しかし、その後動きはピタリと止み、西友は道内店舗のリニューアルに力を入れる。

 これまでに「手稲店」、「宮の沢店」、「西町店」、「元町北二十四条店」、「平岸店」、「旭ヶ丘店」の6店舗を順次リニューアル。産地直送の農水産物を充実させたり、衣料の「しまむら」や「サンキ」、「100円ショップ」などの専門店を導入して活性化に力を入れてきた。こうした改装投資が買い物客増加に繋がり、道内店舗は落ち着きを取り戻していた。

 そんな矢先に飛び出した売却方針に西友従業員ばかりではなく多くの流通関係者に戸惑いが広がっている。全国300店舗の一括売却という話もあるが、現実問題としてGMS(大規模スーパー)の先行きを勘案すれば買い手はそう簡単には現れない。前期赤字257億円で7年連続の赤字では、財務状況が見た目で判断できない。仮にブロック別売却になれば、北海道で手を挙げられるのは1~2社。
 しかし、前述したように道内もある意味で競争均衡の状況で、人口減少などを考えれば大きなリスクを取りにいく。西友売却は、買い手と目される企業同士がぎりぎりまで相手の出方を待つチキンレースの様相を見せるかもしれない。買い手となる経営者の洞察力がゲームチェンジを招来することになりそうだ。西友売却方針が昨日伝えられたものの、ウォルマートは西友継続方針も示すなど、情報は錯綜している。どちらになるにせよ、国内流通業界が再び再編のステージに入ることは確かだ。


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