コープさっぽろは、主食米以外の新規需要米の用途を広げるため、新規需要米を食べさせた鶏や牛、豚の食肉を来年にも商品化する意向だ。新規需要米は飼料米として昨年は道内で747㌧が生産されたが、今年は1300㌧に拡大する。コープさっぽろでは道内のJAや大学、加工業者と連携して高付加価値畜産物の有効性を検証しながら食肉の差別化を進める。(写真は新規需要米を使った食品の数々)
 
 コープさっぽろは昨年、飼料米を餌にした鶏や乳牛から取れる卵、牛乳を「黄金そだちシリーズ」として商品化。「黄金そだちたまご」や「黄金そだちの別海牛乳」、「黄金そだち美瑛豚」など販売し年間8億円程度まで新規需要米の市場規模を広げてきた。
 
 飼料米を食べさせた鶏が生む卵と一般の卵の成分分析では、体に良くないとされるコレステロールやリノール酸、アラキドン酸は新規需要米を食べさせた鶏の卵では少なく、逆にオレイン酸やレチノールなどが高いことが分かっている。レチノールはビタミンAのことで肌と関係があり、皮膚の再生を活発にさせる効果があるという。また、オレイン酸は心臓病、がんの発病率を低下させると言われている。
 
 コープさっぽろは新規需要米を拡大することによって①安全・安心な飼料の安定確保と地産地消②食料自給率の向上③減反をとめ、水田農家の生産性向上④飼料米を餌にして高付加価値の畜産物生産の可能性を追求⑤コメ粉の需要拡大で小麦粉からの転換を進める――ことを目指している。
 
 コープさっぽろの山口敏文専務理事は、「飼料米を食べさせると、牛の肉が柔らかくなり様々な効果が期待できる。豚、牛、鶏に飼料米を食べさせて食肉のほかに、卵や牛乳から様々な加工商品を作っていきたい」と語る。
 
 コメ粉を製粉化して、コメ粉と小麦粉を半分ずつ混ぜたてんぷら粉を使う、てんぷらがこんがりと揚がると好評で年間200~300㌧がコープの宅配向けに売れている。今後、飼料米を食べた鶏の卵と道産玉ねぎを使ってオムレツや別海牛乳と卵を使ったバウムクーヘンも商品化、年明けから宅配で供給する意向。
 
 また、新規需要米として、倒れにくくてイモチ病にも強い「たちじょうず」の作付けも今年から3ヵ所で始まっている。「たちじょうず」は高収量で減農薬栽培できるため有機米としてクリーン農業に寄与、今後新規需要米の主力になる可能性がある。


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