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 ――小売り分野の企業が、AIやIoTを取り入れていくのはかなり難しいのでは……。

 富山 そこが今後の成長の鍵だと思います。リアル側(小売り側)がどうテクノロジーをトランスフォーメーションできるかです。おそらく小売業界のゲームチェンジが起きるでしょう。

 ――それに関していち早く対応しているのがサツドラですか。

 富山 トライしている部分がたくさんありますし、実際手応えを感じています。私自身も非常に仕事の幅が広がりました。情報の入り方も変化し、新しい分野への理解も日に日に深まっています。リアル側、つまりドラッグストアに関して自分なりに理解を深めて経営をしてきたので、私自身がハブになって事業展開している感じですね。

 今、AIのエンジニアも実際に店舗の作業をやったりしています。彼らはリアルな場が面白いと言っています。現場ではこんな作業をしているのかと、刺激を受けて自動化へのヒントを掴んでいます。我々では気づかないことにも彼らは気づきます。そんな環境を自由に体験できる場を持っている小売り企業はあまりないと思います。

 ――北海道という地域性を活かした「リテール×マーケティング」のリーディング企業としてあくまで北海道をベースに成長を果たしていくということですね。

 富山 東京で通用するモデルをそのまま地域に普及させることは実際には難しい。第4次産業革命で生活が変わっていく時に、地域単位で事例を作ってそれを地域全体に広げていくことが必要になってくるでしょう。様々な社会的な課題が日本の縮図のようにある北海道で、課題解決に繋がる新たなものが生まれてくれば、単なるインバウンドという文脈だけではなく、アジアングローバルで稼ぐことができるようになるかもしれません。北海道は、日本の中でそういう役割を果たせる場所になると思っています。

 行政レベルでやれることと民間レベルでやれることは違うと思いますが、課題解決という面で民間の役割が果たせれば良いと思っています。「チェーンストアと地域」を切り口に、新たな価値を作っていきたい。



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