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 ――「WeChat Pay」の拡大は、サツドラHDが掲げるアジアングローバル戦略の一環だと思いますが、どのような狙いがありますか。

 富山 マーケティングの方法や実際の数字を把握しながら、ノウハウをBtoBの事業に生かせるという点です。「WeChat Pay」で蓄積したノウハウを循環させてサツドラ店舗に還元することも可能です。

 ――中国などからのインバウンド増加で「WeChat Pay」は、まだまだ拡大していくと。

 富山 日本では利用できる店舗が少ないですから、この決済サービスはまだまだ増えていくと思います。なにせ中国では8億人が使っているサービスですから。「WeChat Pay」のほか国内では「LINE Pay」や「d払い」も普及が始まっており、今年はQR決済元年になると思います。「WeChat Pay」を導入する時からこうなるだろうと思っていましたが、そのスピードはかなり早くなってきたと感じています。

 サツドラHDのコンセプトは、「リテール×マーケティング」です。ドラッグストアのサツドラと北海道くらし百貨店はBtoCですが、その他の事業はBtoBです。BtoB事業は、サツドラ店舗があるからこそできるのであって、BtoCの経験と蓄積を生かしてBtoBの新たなサービスや仕組みを生み出し、それを外に広げていくのがサツドラHDグループの事業モデルになりつつあります。

 ――ところで、アマゾンへの対抗策については何か考えていますか。

 富山 目下プランニングをしているところです。通常のECサイトでは対抗できないと思っているので、新たなサービスや体験を作らなければいけない。現在、自社でクラウドPOSを導入して、そこに基幹システムを付けるなど、次世代の新たなサービスを生み出す基盤構築を進めています。既存のシステムに継ぎはぎしても次のステップにいけないと思っているので、そこにはかなりの重点投資をしてきました。

 ――「AI TOKYO LAB」をグループ化するなど、BtoB強化の体制が整備されてきました。

 富山 会社全体がこれからどうデジタルトランスフォーメーション(ITの進化が人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させること)していけるかが、大きなテーマです。おそらく各社が絶対やらなければならないこと。そこにどう対応していくか、当社のアクションとして「AI TOKYO LAB」の子会社化があるということです。

 当社グループには、AIやソフトウェアのエンジニアがかなり増えてきました。純粋な小売業だけで優秀なエンジニアが集まったかというとなかなか難しかったでしょう。彼らとドラッグストア事業に関わっている従業員の働き方の文化はすごく違うので、当社全体の働き方改革にも繋がっています。これからは、多様性のある組織づくりが大きなテーマ。デジタルとリアルをどう融合させて新しいものを作れるかは、組織の在り方に大きく左右されるでしょう。

「AI TOKYO LAB」や「GRIT WORKS」というPOSの会社もそうですが、社内でエンジニアが増えていって、リアルな店舗側と一緒にプロジェクトを進めることによって、新たな発想や様々なものが生まれようとしています。そういう意味ではすごく良い方向に向かっています。「AI TOKYO LAB」は、東京に拠点をおきながら、北海道大学内にも「AI HOKKAIDO LAB」を昨年10月に開設しました。そこでは北大生のアルバイトを20人ぐらい使って実際にサツドラ店舗の様々なデータの分析を始めています。

「AI TOKYO LAB」は、AI会社としての知名度も上がってきたので、異業種とのネットワーキングがどんどん広がってきました。エンジニアは札幌で働いても良いし、東京で働いても良いという選択肢を用意することによって、東京の最新の技術や知見に触れられる環境は重要だと思っています。



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