消費環境が不透明さを増してきた食品小売業界。一番の書き入れ時である歳末商戦もかつてほどの勢いがなくなっている。そして迎えた2018年。道内スーパーストア1位のコープさっぽろ(本部・札幌市西区)は、新しい年をどんな戦略で向き合おうとしているのか。在任11年目の大見英明理事長に聞いた。※インタビューは3回にわたって掲載します。IMG_0323(写真は、インタビューに答えるコープさっぽろの大見英明理事長)

 Q 年末商戦について。

「12月21日から31日までの11日間で、店舗は前年同期間比101・5%、宅配は111%でした。店舗は、お盆商戦に比べて2%ほど低い伸び率でした。部門で特徴的にどこかが悪いということではありません。原因は、灯油代が前年と比べてリッターあたり20円程度上昇していることが要因だと思っています。ひと冬で4万円程度の支出増になります。そのことが11月後半から消費に影響していると考えています」

「コープさっぽろの店舗は、正月やお盆などハレの日に強いが、買い易さをどう打ち出すか、プライスラインのコントロールを一段と強めたことがうまくいったと思っています。ハレの日で競合するのは、イオン北海道の店舗くらいで他のチェーンはハレの日が弱くなっていると感じます」

「家族や世帯の構成が少しずつ変化し、年末に高齢夫婦の家に子どもたちが孫を連れて帰ってきて何日も泊まることが段々少なくなってきました。ハレの日の需要も以前ほど勢いがないのはそういうことが反映しています。ただ、そういう時でもきちんとしたハレの日をやろうとするとコープの店舗が一番適していると評価してもらっていると思います。地域一番店になるために20年前から進めてきた『おいしいお店』づくりの結果なので、この地位は他のチェーンには譲れないところです」

 Q 2018年の消費環境について。

「給与が本当に上がっているかというと、私は上がりきっていないと思う。当生協は2年間でベア2万円を引き上げましたが、他はあまり上げていません。全体としては首都圏中心に(消費は)良いと言いますが、私は消費が良くなることは今後ないのではないかと思っています。現状維持を前提にせざるを得ないと考えています」

  • 1
  • 2



4人の方がこの記事に「いいんでない!」と言っています。