2018年が明けた。地域経済ニュースサイト「リアルエコノミー」の年頭インタビューは、今年もアークス(本社・札幌市中央区)の横山清社長(82)に登場してもらった。横山社長が毎年、自ら考え毛筆で認(したた)めるスローガン。2018年は、『お客様第一主義 技術的特異点に備えて 全社が心技一体で 新流通戦に贏(か)つ』(※贏(か)つは、まさる、あふれる、もうけなどの意味)。横山社長に2017年を振り返ってもらうとともに、18年のスローガンに込めた意味と流通業界の展望を聞いた。(3回シリーズでお伝えいたします)※動画はこちらの画像↓をックリックしてご覧ください

IMG_9969(写真は、インタビューに答える横山社長)

「アークスはこの2年間、保守的と言っても良いほど積極的な攻めの体制は取っていませんでした。システム投資について1年半くらい準備をしていましたし、傘下のスーパーも2016年3月に北網と東北の2つの地域で合併させました。会社の数は2つ減りましたが、トータルでは(売り上げが)伸びている訳で、少し保守的には見えるけれども『未来適合能力の養成』とでも言えるようなことをしてきた訳です」

「新しい店は、ユニバースと道南ラルズが出店したくらいで、ほとんどの事業会社は新規出店をしていません。しかし、後方支援体制はしっかりと構築してきました。16年12月にはラルズの石狩生鮮センターを新しい体制に組み替えました。このセンターは、表では何も変わっていませんが中身はガラリと変わっています。東光ストアの生鮮も扱うということで名称は『ラルズ東光石狩生鮮センター』になっています」

「東北でもユニバースのデリカセンターが竣工して流通の効率化、近代化を進めています。ラルズのデリカセンターも増築して能力アップをしています。
このように、どちらかというと新しい戦いのための準備期間がこの3年くらいでした。そしていよいよ2018年から始まる新年度は攻めの世界に入っていきます」

「今はデフレ状態です。安売りで売り上げを増やしてもしようがないから、この際きちっと利益を出した方が良いという意見が多いのは確かです。しかし、現実には大手流通が中心になってさらに値引きをしています。価格を下げた対象商品は、30~40%の売り上げ増に繋がったと言われています。でも、業績もそれに連れて伸びたかというとそうではありません」

「政府筋はインフレによって企業業績も上がるだろうと考えているようですが、私はインフレになると消費生活に大きな問題を顕在化させると思っています。私はレイ・カールワルツの『シンギュラリティ』(技術的特異点)ではないですが、科学技術のトータルでの進化によってどんどん良いものが安く売れる環境になっていくと思います。
今、小売業界は外からはあまり見えないにしても格差がどんどんついています。格差がついている部分が何かのきっかけで顕在化することによって流通業界はガラリと変わるでしょう」

「『プレ・シンギュラリティ』とも言える昨今は、技術がどんどん進化しています。一番良い例がレジ。人手が少ないので新型のセミセルフレジがどんどん出ています。全部を切り替えなくても1店に仮に2000万円投入したとすると100店あれば20億円の投資になります。そんな大きな投資をしても無人レジが出てきたら、そちらに切り替える必要性が出てきます。技術の進化のスピードは企業の投資判断を難しくしている面もあるようです」

「アマゾンは、ネット通販で安くて良いものをどんどん売るビジネスモデルですが、それに対抗するためアメリカでは世界一のウォルマートがバーチャル会社を買収してリアルとバーチャルを混然一体化しようとしています。アマゾンがホールフーズを買ったのもそういうこと。今のところ、ホールフーズは日本にはない訳ですから、似たような会社と提携をするか買収するかということになっていくでしょう」

「それに対して我々はどうするのか。具体的な対応策はないにしても、バーチャルな方向に向かうことは避けられないことを認識して、あらためてお客様第一主義を徹底していきます。サービスは何も商品を安く提供することだけではありません。すべてのことについてお客さまに奉仕すること。つまりお客様ファーストのことです」

「『シンギュラリティ』を過ぎると世の中、全く変わると言われています。これを技だとすれば、それはもう目先に来ているのでグループ全社でお客様第一主義=心と一体で向かっていくしかない。バーチャルとリアルの一体化ということに積極的に取り組んでいきます」
(以下、次回に続く)