「ツルハの店舗跡にサツドラが居抜きで入る」――ドラッグストアが激しい出店争いを展開している。札幌市西区のJR琴似駅前で繰り広げられている競争はその典型例と言えそう。IMG_5727 (2)(写真は、JR琴似駅前の「5588KOTONI」)

 ツルハ(本社・札幌市東区)が展開する「ツルハドラッグ」とサッポロドラッグストアー(同・同市北区)が展開する「サツドラ」の道内店舗数と売上高を比較すると、2017年5月期でツルハは372店舗(調剤薬局含む)、サツドラは186店舗(同)で丁度半分。売上高はツルハ1304億円、サツドラは決算期変更により詳細は不明だが約720億円とみられ、こちらもおよそ半分のサイズ感だ。

 しかし、2社の出店に賭ける意欲は寸分の違いもない。17年5月期にツルハは道内に19店舗を出店し5店舗を閉店して純増店舗数は14に落ち着いた。サツドラはどうか。こちらも16店舗出店し3店舗を閉店、純増数13と一歩も引かない。

 2社の出店スタイルは、この数年で変化してきた。以前はライバル店の近くに新店を出店するコバンザメ・スタイルが多かったが、最近は閉店した食品スーパーや物販店跡に出店する居抜きの競争に移ってきた。その競争がさらに進化したのがJR琴似駅前にある商業ビル「5588KOTONI」へのサツドラの出店。

 このビルの1階では、ツルハが「琴似駅前店」を展開していたが、5月中旬に近くの食品スーパー跡に移転するとサツドラはすかさず出店を決めた。「ドラッグストアの跡はドラッグストアで」という訳だ。オープンは8月中旬になる。

 こうした火花の飛び散る出店競争ができるのは、互いに体力があるから。ツルハは18年5月期に道内22店舗を出店する予定で閉店は5店舗、純増数17にして期末に389店舗を計画。サツドラは18年5月期に道内を中心に18店舗を出店する予定だ。鍔迫り合いを象徴する「5588KOTONI」への出店は、ドラッグストアの琴似戦争と呼べそう。ツルハ包囲網のある琴似地区でサツドラはどんな戦いをするのだろうか。


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