コープさっぽろ(本部・札幌市西区)の取引先約900社で組織している生協会(会長=ナシオ平公夫社長)は20日、札幌市白石区の札幌コンベンションセンターで2017年度定期総会を開催した。約500社1000人が集まる中、コープさっぽろの大見英明理事長は、全道の生協統合から10年を迎える今年度を機にさらに影響力を拡大し、社会貢献にも力を入れることを強調した。以下、大見理事長の発言要旨を紹介する。IMG_5294(写真は、生協会で報告をする大見英明理事長)

「生協の全道統合から今年は10周年になる。10年前のコープさっぽろは2130億円規模だったが今は2777億円、魚長を入れると2900億円の規模になっている。10年間で750億円伸ばすことができた。宅配トドックの事業一つ分くらいがこの10年間でできた訳だ」

「大変な10年間だったが、当時ある大手経営者(先輩)が(コープさっぽろについて)『マイナス+マイナスはマイナスだ』と言ったことがある。コープさっぽろが一貫して負の遺産統合をしてきたのは事実だが、負けたくないので『マイナス×マイナスはプラスになる』と話したことがある」

「コープさっぽろは、一つの組織で3000億円規模の手前まで来ている。地域における組織の差はなく労働者の流動性、教育水準、仕入れ、マーチャンダイジングも1本化している。そういった意味では一枚岩のチェーンを10年で形成できたと思う」

「コープのアキレス腱は、1998年の経営破綻前後の10年間に大卒総合職の採用ができなかったこと。今でも34~44歳までの総合職が少なく人材の綱渡りがこの10年間だった。現場には優れたマネージャーが必要だが、店舗と宅配のマネジメント層が200人規模でいないと現場は回らない。この3~4年、やっと追いついてきた」

「昨年、1万2000ページの業務標準書が完成した。今年はさらに改定しており業務標準を関連会社含めて浸透させることによって職員、パートの能力のバラツキを是正できるようになる。オペレーションレベルを高めていく基礎がやっとできた。我々はここから一歩でも後退することはないと確信している。さらに今後10年間、基礎的な力量の上で大きく前進していきたい」

「宅配トドック事業は昨年度で経常剰余率8・6%になった。日本の生協で一番高い宅配の経常剰余率を実現した。さらに今年度以降は宅配センターから1時間以内に組合員宅まで届けられるようにネットワークを再構築することで業務効率を高め、2ヵ年で経常剰余率10%まで高めたい」

「今年度からグループ経営を強化する。生協の事業は組合員のための事業だが、最近はいろんな取引先から事業として一緒にやってくれないかと話がくる。それぞれの事業が自立性を持ち、自走力があるものについてコープさっぽろの出資比率49%にして関連会社を作り、スピード感をもって地域に展開できるようにしたい」

「関連会社8社は黒字経営をしているので、関係先との事業統合を視野に入れながらそれぞれの取引先と深い関係を築いていきたい」

「コープさっぽろは、いろんなことをやっているので、うさぎと亀の寓話から言えばうさぎのように見えるかもしれない。しかし、亀でありたいと思っている。食を中心とする事業分野でコツコツと一歩一歩実績を積み上げて影響力と社会貢献力を高めていけるように邁進したい」



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