コープさっぽろ(本部・札幌市西区)は、18日に札幌市中央区のホテルポールスター札幌で第15回食育研究会を開催した。食育研究会は、食育推進、情報共有の場としてコープさっぽろが開催しているもので、食品卸各社や食育を推進している関係者など約300人が参加した。IMG_4266
IMG_4270(写真は、講演する内田美智子さん=上と佐藤克彦さん=下)

 研究会では最初に福岡県行橋市の助産師で思春期保健相談士の内田美智子さんが『いのちをいただいて つないで、育むこと』をテーマに講演。内田さんは、助産師になって37年、2500人以上の出産に立ち会っている。また、思春期の子どもたちと向き合ってから25年になり、その中で食がおざなりになっている現状を知って年間100回ほど学校や地域で食の大切さを話している。

 内田さんは、「子どもは、親の態度や言葉、しぐさを見て育つ。心のひもじさを抱えている子どもは多い」と述べ、コンビニ弁当や食品スーパーの惣菜に言及。「コンビニ弁当やスーパーの惣菜を否定しないが、子どもたちへの出し方と頻度が問題。買ってきたプラスチック容器のまま出すのと、食卓にある器に移して出すのでは子どもたちの受け取り方が違ってくる。親が『さあ、どうぞ』と差し出す工夫をすることはとても大切」と訴えた。

 また、今静かに全国の小中学校で広がり始めた『弁当の日』(小中学生が親の手を借りずに自分の弁当を作って学校に持っていく日)について、「子どもたちが自分の手で弁当を作ることで親子に大切なこと教えてくれる。地域の食品スーパーでは『弁当の日』に合わせて弁当の食材を安くするなど応援セールをしているところもある」と話し、食育に地域で応援しているケースを紹介した。

 続いて新潟市農林水産部食育・花育センターの佐藤克彦さんが『新潟発 わくわく教育ファームの取り組み』と題して講演。新潟市は農業が盛んな市で、農業を核にしたマチづくりを進めていることから日本初の行政主導型で教育ファームを立ち上げたことを紹介、「今年で4年目になるが、すべての小学校が農業体験を実施するようになり、子どもたちの農業を見る目が大きく変わった」と報告した。

 教育ファームは、農業の体験活動に終わらせず体験学習にするためアグリ・スタディ・プログラムを策定しているが、「施策の整備は市、教育プログラムは教育委員会、実施は農家や企業が担当しており地域が連携して推進している」と語り、新潟発の食育モデルを発信したいと強調していた。


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