発注ミスや容器破損などで返品された加工食品や冷凍食品、菓子類を児童養護施設などの子どもたちに向けて無償配布するフードバンクの取り組みを、コープさっぽろ(本部・札幌市西区)が強化する。コープさっぽろの取引先でつくる生協会(会長=平公夫・ナシオ社長)の食品卸など6者と協定を結び、集まった食品を一元管理する「トドックフード基金」も設立、従来は廃棄されていた“もったいない”食品の有効活用を一層進めていく。IMG_0356(写真は、29日に京王プラザホテル札幌で行われた協定の締結式。左から白井正明・日生協連合会北海道支所長、黒澤良一・国分北海道社長、平公夫・ナシオ社長、大見英明・コープさっぽろ理事長、成田祐一・日本アクセス北海道社長、河野均・加藤産業北海道支社長、小野山徹・山星屋担当課長兼営業チーム長)

 コープさっぽろは、今年5月から宅配トドックの注文ミスや配達時に一部破損して返品されてきた消費期限内の食品を、全道23の児童養護施設、約1300人に向けて無償提供するトドックフードバンク活動を実施している。
 全道に32ヵ所ある宅配センターにこうした商品を集め、最寄りの児童養護施設の担当者が1~2週間に1度の頻度で受け取る仕組み。こうしたフードバンクは、全国的にはNPOセカンドハーベストジャパン(東京都台東区)が知られ、生協ではコープ東北も取り組んでいる。
  
 今回、トドックフードバンクの発展拡大を進めるためにコープさっぽろの取引先でつくる生協会のメンバー、ナシオ(本社・札幌市西区)、日本アクセス北海道(同・同市東区)、加藤産業(同・兵庫県西宮市)、国分北海道(同・札幌市中央区)、山星屋(東京本社・東京都港区)と日本生活協同組合連合会(本部・東京都渋谷区)の6者がコープさっぽろと協定を締結、消費期限内でも返品等で廃棄していた食品をトドックフードバンクに提供することにした。
 提供されるのは、常温管理の非生鮮食品と冷凍食品でコープさっぽろだけで年間3000万円相当だが、新たに輪が広がることで同5000万円規模になる。
 
 フードバンク活動をさらに発展拡大させていくとともに食品の一元管理をするため「トドックフード基金」を設立するとともに運営の透明性や児童養護施設以外にも提供先を広げていくに際して相手先の公共性などを見極めるため同基金諮問委員会(委員長・大原昌明北星学園大経済学部経営情報学科教授)も設置した。
 なお、コープさっぽろでは、トドックフードバンクによる食品提供だけでなく、児童養護施設の子どもたちを対象にした食育イベント「トドックフードキャラバン」も9月からスタートさせている。

 ナシオの平社長は、「過剰発注や特売の返品など消費期限があっても、長年の商慣習で廃棄していた食品を有効活用することに繋がる。メーカーにも幅広く声を掛けたい」と話した。
 協定を締結した食品卸5社と日生協連合会はコープさっぽろのNBセンターを利用しており、同基金に食品を提供しやすい環境がある。今後、他の同センターを利用していない食品卸にもフードバンクの輪を広げていく考え。


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