大証ジャスダック上場の食品スーパー、ダイイチ(本社・帯広市)の創業者川上直平氏が死去したことに伴うダイイチ株の移動で、大手食品卸の菱食が川上氏の持ち株の半分弱程度を取得した模様だ。(写真は帯広のダイイチ本社)


株式公開している道内の食品スーパーで食品卸が大株主になるのは珍しい。
昨年8月に死去した川上直平氏の持ち株は、40万1410株で持ち株比率は10・04%の筆頭株主(2010年9月30日現在)。以下ダイイチ取引先持ち株会(5・52%)、北陸銀行(3・66%)、北洋銀行(3・00%)と続いている。
株の相続では、時価の半分の贈与税がかかる。川上氏が死去した当時の株価で換算すると川上氏の持ち株は約2億6000万円程度と見られる。川上氏の持ち株をそのまま相続すると半分の1億3000万円を贈与税として支払わなければならないことになる。
贈与税は、贈与を受けてから8ヵ月間で支払うことになっており、仮に金融機関から贈与税資金をまるまる借入すると、この種の借入の返済期間は10年間のため年間1300万円超が返済資金ということになる。
この額が多いか少ないかは判断が分かれるが、川上氏の持ち株は全株相続にはならず、半分が川上氏の娘で現社長夫人の小西典子氏が相続し、残り半分弱が菱食に売却されたものと見られる。
市場で売却すれば株価に影響するほか株が分散してしまうため、相続分以外を取引のある菱食と相対で売却した模様。
ダイイチが今年2月に発表した2011年9月期決算の第一四半期報告書によると、小西典子氏の持ち株は26万7410株で持ち株比率は6・68%になっている。現社長の小西保男氏の持ち株は9万2478株で2・31%。菱食の持ち株は5%以下と見られる。なお、菱食の半分の株を持つのは三菱商事。
ダイイチの創業は、1958年で創業時の名称は帯広フードセンター。フードセンターの名称を取り入れて出戸一成氏が札幌で始めたのが札幌フードセンター(現マックスバリュ北海道)。ダイイチは、63年に旭川に出店するのを機に第一スーパーに社名変更し、91年CI(コーポレートアイデンティティ)の一環として「ダイイチ」の名称を取り入れた。

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