コープさっぽろ(本部・札幌市西区)の2016年3月期決算(15年3月21日~16年3月20日)は、経常剰余が58億500万円で15年3月期を65・3%上回り過去最高決算になった。店舗はオール既存店だが、前期比105・1%と高い伸びを見せ、宅配事業の事業高経常剰余率は8・2%に達した。今17年3月期も3・5%の増収、経常剰余も55億円程度を見込む。IMG_1024(写真は、コープさっぽろ本部)

 16年3月期の事業高は2678億4800万円で前期比103・7%、額にして95億2400万円と100億円に近い増収になった。要因は店舗事業と宅配事業がダブルで好調だったこと。
 期初から店舗と宅配のポイントを統合してどちらでも使えるようにしたことで65億円の増収効果があった。特に宅配利用者が「近くのライバル店より少し遠くてもコープさっぽろの店舗を利用してくれるようになった」(大見英明理事長)。
 
 また、大型店の「ルーシー店」(札幌市白石区)や小型店の「北12条店」(同市北区)などのリニューアルが成功、客足が10%以上伸びた。この結果、店舗事業の事業高は1856億7100万円と前期比5・1%増収となった。しかし、店舗の赤字は解消できてない。前期の19億円から5億円まで赤字幅を圧縮したが黒字化まであと一息のところに来ている。
 
 宅配事業は、灯油の値下がり分が21億700万円あったが、灯油以外の伸びが21億300万円あって部門全体では400万円マイナスの752億3100万円だった。
 共済部門は前期比104・1%の15億8100万円、その他収入は同111・4%の47億6000万円だった。
 
 組合員数は159万6125人で前期より5万2845人増えて2013年3月期に比べ10万5千人強増えた。出資金を1000円からに引き下げた効果が大きい。なお、その後4月10日に160万人を突破している。
 
 過去最高58億円の経常剰余を確保できたことから組合員への還元強化に踏み切る。まだ累積損失が残っているため出資配当はできないが、株式会社の株主優待制度を参考に出資金10万円ごとに750ポイントを還元する出資優待サービスを始める。還元率は0・75%とお得感がある。
 
 また、宅配利用者のうち3歳児までの子どもがいる家庭と65歳以上の利用者には宅配1回ごとの手数料216円を無料にする。これら2つの還元に7億円程度を充当する。
 
 6月の総代会で諮(はか)る決算処理案は、子会社3社の累損を本体に取り込んだ275億円と従来からの本体累損188億円を合わせた455億円を今期の剰余金等の111億円で処理、繰越損失353億円となっている。
 
 17年3月期は、店舗事業で1890億円(101・8%)、宅配事業で795億円(105・7%)とし総事業高2771億円(103・5%)、経常剰余は55億円を予定している。
 設備投資は、札幌市内店舗の移転建て替え2件とシーナ店(旭川市)、留萌店(留萌市)など8店舗のリニューアルに合計22億円を投じる。また、宅配センターのうち中標津と江差の2ヵ所に組合員向け交流スペースを設置する。更に江別工場、石狩工場に設備増強に6億円を支出する。
 
 累損は今後7年間で処理していく考えだが、7年後の23年3月期の見通しについて大見理事長は「店舗事業で2000億円、宅配事業で1000億円、トータル3000億円」としている。


14人の方がこの記事に「いいんでない!」と言っています。