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道内流通界の2強、アークス横山清社長(75)とコープさっぽろ大見英明理事長(52)の年末会談から2ヵ月、その中身が明らかになってきた。大見氏が横山氏に問うたのは、横山氏の十八番である“八ヶ岳連邦経営”の極意だったようだ。(写真は左からコープさっぽろ大見英明理事長、アークス横山清社長)


コープさっぽろは、コープスタイルを徹底するパクス・コープから転換するのか。
コープさっぽろは、道央市民生協やコープ道東、コープ十勝を統合し全道統一を実現しているが、3年ほど前から、民間食品スーパーのグループ化にも手を伸ばしている。
室蘭の志賀綜合食料品店や函館の魚長、そして昨年1月の旭友ストアーの8店舗部分譲渡だ。
事情通によると、「志賀と魚長はメーンバンクが道銀。アークスは言うまでもなく道銀メーンで横山氏は道銀の社外取締役も務めたことがあり、現在も融資取引先の親睦団体である『らいらっく会』の全道会長をしている。その意味では、本来はアークスが手を差し伸べるのが筋だが、横山氏はそれをしなかった。つまり、それほど中身(財務)が良くなかったということだろう。旭友ストアーは北洋銀がメーンでコープさっぽろと同じだから阿吽の呼吸があったのかも知れない」という。
粉飾決算が見つかり、前社長が自ら命を絶った志賀を事実上子会社化したり、道銀からの借り入れが過多の魚長に役員を派遣するなど、コープさっぽろは協同思想が強いあまり深入りしすぎてしまう傾向がある。コープさっぽろとこうした民間スーパー群との責任と権限の境目がおぼろげなのもコープさっぽろに余分な負担を強いることになっているようだ。
アークスの横山社長は、こう述べている。
「コープさっぽろが業務提携で店舗増やしてグロスで売上げを増やしていくのは、戦略として悪くない。ただ、旭友の業績が伸びないようで、大見理事長が『横山さんだったらどうする』と聞くので、『私だって今まで閉店の山を築いてきた。だからそれはいいんだ』と言ったけどね」
アークスは持ち株会社として傘下にラルズ、福原、ふじ、道南ラルズ、道北ラルズ、道東ラルズ、東光ストアなどの食品スーパーを持つ。
横山社長は、「『子会社を一緒にすればもっとメリットが出てくるでしょう』と言われるが、地域ごとのドミナントは意外と効果が大きいんですよ。その地域にいる人たちが経営をしていくメリットはある」と言う。
横山社長の持論である八ヶ岳連邦経営は、アークス創立以来8期連続の増収増益が裏打ちしているようだ。
コープさっぽろの2010年9月中間決算は赤字だったが、年末商戦で挽回したものの通期でも純利益段階で赤字が出そう。ただ、中間期に比べて中身は大きく改善しているという。
横山―大見のトップ会談で、コープさっぽろの“脱パクス・コープ”が進むのか、それとも、もう止めることはできないのか。
来期が正念場という見方が強い。

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