コープさっぽろは、地方出店を当面凍結することを決めた。11月末に出店した幕別町札内の「札内店」を最後に今後2~3年は札幌市内に出店エリアを限定、合わせて協同購入などを強化していく方針に切り替えた。


既に土地を購入した八雲町の出店計画を取りやめた。コープグループは全道統一を成し遂げて、地方出店を積極的に進めてきたが流通激戦で広がりすぎた兵站の収益が十分に確保できないため、出店政策を練り直すことにした。
コープさっぽろは、昨年から9月中間決算の発表を取りやめているが、関係者によると今中間期は増収になったものの減益を余儀なくされた模様。足を引っ張ったのは、旭川電気軌道から引き継いだ旭友ストアー8店舗だった。
関係者によると、「億円単位で予算を下回った」というからコープへのボディブローどころかカウンターパンチ並みに体力を奪ったことは間違いないようだ。
とりわけ、旭川市内にある旭友ストアー4店舗の業績が低空飛行を続けている。
なぜ、旭友引継ぎで失敗したのか――。そこには、店舗を建物ごと引き継ぐ居抜き出店の誤算があった。
流通業界の事情通が言う。
「居抜きで店舗を引き継ぐと商圏もそのまま引き継ぐことになり、従来からその店舗に来ていたお客がその後も来店することになる。オープンから数日は価格をアピールするから常連客や浮動客が来るが、やがてコープの品揃えに合わない従来の常連客が離れて、他のコープ店舗に行っていたお客が来ることになり、結果的にコープ店舗が増えたのにもかかわらず全体としてその地域のお客は増えないことになるからだ」
居抜き出店では、地域の事情にあった個店対策、個店MD(マーチャンダイジング)を徹底しなければ引き継ぐ前の店舗売上げよりも低下してしまうことがよくあるからだ。
コープさっぽろは、旭友の失敗をリカバリーすべく個店対策に重点を置き、10月現在で旭友4店舗の売上高は前年比で93程度まで戻ってきているという。コープ商品の供給などによって利益率は従来の旭友時代よりも4~5%あがっているため、売上高が前年比で94~95であればペイするラインになるという。
ただ、旭友店舗への居抜き出店は相当に誤算だったらしく、これまでダイエーや長崎屋など他業態の店舗も居抜きで引き継いできたが、今後は居抜き出店を取りやめる考え。
もっとも、地方展開の中でも函館、北見、釧路は好調で釧路はスクラップ&ビルドの店舗が赤字から1億円レベルの利益を計上するまでになっている。
当面、地方出店を凍結することで現有店舗の利益率改善を目指し、合わせて協同購入を強化、シェア率を14~15%から20%へ高めていくことにしている。
今後の新規出店は札幌市内に限定していく考えで、中でも中央区には現在、コンビニクラスの面積の「植物園店」しかないためフラッグシップとなるような店舗を出したい意向だ。
(写真は、コープさっぽろ札内店。109番目の店舗で凍結する地方出店で最後の店になる)

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