食品スーパーは、ディスカウント合戦を繰り広げているが、北雄ラッキーの桐生泰夫会長は「まだ3年から5年はディスカウントが続く」と見ている。体力勝負、消耗戦と言われるディスウカント合戦には一線を画す北雄ラッキーだが、桐生会長はなぜディスカウント戦線と距離を置くのか。


 桐生会長が鮮度優先、品質重視の食品スーパー戦略の軸足をあらためて確信したのは篠路店のリニューアルだった。もともとディスカウントとは距離を置き、コストが掛かったとしても鮮度を良くすることに真面目に取り組んできた。
 この路線にぶれることなく篠路店をリニューアル、「真面目にコツコツ」が奏功したのか、リニューアル後は115%の売り上げ増を記録する実績を残した。
 桐生会長は、「食品スーパーには“時流”というものが確かにある。北雄ラッキーが成長してきたのもその時流にうまく乗ることができたからだ」と言う。
 北雄ラッキーが乗った時流とは、店舗の大型化だった。150坪程度の店舗面積が主流だった時代から300坪や450坪の店に拡大し駐車場もきっちりと用意する。この時流に乗った食品スーパーは生き残ることができた。
 続いて起こった時流は、総菜の品揃えと品質だった。北雄ラッキーは、この時流にもうまく乗ることが出来て、「品質のラッキー」というイメージが消費者の間では刷り込まれていった。
 しかし、今起きている時流はディスウカント。桐生会長の言う「時流に乗る」とはディカスカウント路線を取り入れることではないのか。
「コロッケにしても豆腐にしてももやしにしても、当店と比べて2倍、3
倍の差がある。お客様を取られるのは仕方がないが、全てのお客様がディカウントの店に行くわけではない。10人のお客様のうち2~3人のファンがいれば存続できる店もある。それを目指したい」と桐生会長はキッパリと言う。
 マーケティングの世界では、顧客と商品のマッチングが不可欠とし、信者をいかに多く獲得するかが成功の秘訣だという。
顧客をピラミッドの形状で表すと頂点に信者客があって次に固定客、そして知名客、最後に潜在客となる。
 これまでの食品スーパーの時流は、信者客や固定客を増やすものだったが、今のディスカウント合戦は知名客、潜在客を取り込もうとする動き。これらの客層は移ろいやすく流動的だからディスカウントでお客を呼び込まないと量がはけず利益に繋がっていかない。
 ピラミッドの形も、頂点は細く底辺が広いという美しい形とは言えない。
 これに対して信者客をより多くすれば自然とピラミッドが大きくなって全体の顧客は増えていく。北雄ラッキーの路線は、10人のうち2~3人の信者客をしっかり確保する戦略と言える。
 信者をひとつの文字にすると儲かるになるのだが、果たしてどうなる。


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