イオングループのマックスバリュ北海道(本社・札幌市中央区)は、10月1日から帯広地盤の食品スーパー、いちまる(本社・帯広市)の全14店舗を自社店舗として帯広地域で「イオン」のシェアを高める。当面、屋号は「いちまる」を使用するが近いうちに「マックスバリュ」に変更する。IMG_8929(写真は、いちまるフードプライス店を視察する出戸信成社長=10月1日午前9時ころ)

 いちまるは、2年前まで同じ帯広地盤のダイイチ本社・帯広市)と資本業務提携していたが、ダイイチがイトーヨーカ堂(本社・東京都千代田区)と資本業務提携したことで関係が悪化。いちまるは、ダイイチとヨーカ堂が提携した3ヵ月後にイオングループのマックスバリュ北海道と電撃的に資本業務提携を締結、ダイイチとの関係を解消した。
 
 これには伏線があって、ダイイチがヨーカ堂と提携する以前、イオンはダイイチをグループに入れるべく水面下でダイイチに接近。ダイイチのトップ層も一時はイオン入りを意識したようでそれがヨーカ堂との提携によってひっくり返ったことにイオン首脳部は激怒したことが伝わっている。いちまるをイオングループに入れることに執念を燃やしたのはイオン首脳部だったという。
 
 いちまるは、イオンPB(プライベートブランド)を品揃えしたり、イオングループの卸商流に入るなどコスト削減に取り組んだものの以前からの負債が重く、昨年4月の消費増税後の販売低迷で採算の改善は難しいと双方が判断。提携から2年でマックスバリュ北海道がいちまるの食品スーパー事業を買い取ることで今年5月に合意した。これによって、いちまるは60年続いたスーパー事業から撤退することになった。
 
 新生いちまるがスタートした10月1日、マックスバリュ北海道の出戸信成社長は「いちまるフードプライス店」(東5条南3丁目)に顔を出した。朝礼で出戸社長は「今日から新しいスタート。地域に密着して一生懸命頑張ろう」と声を掛けた。
 
 取得した全14店舗の売場のゾーニングはそのままにして商品構成を一部変更、チラシも出さなかった。全14店舗のうち店長が代わったのは旗艦店の「プラザ。いちまる」の1店舗だけで残り13店舗は旧いちまる時代の店長が引き続き従事している。
 
 出戸社長は、「お客様の反応を見ながらリニューアルの必要な店舗は年末商戦前に実施したい。また店舗のスクラップ&ビルドも来年以降に検討したい」と話している。
 
 マックスバリュ北海道は十勝運営部を「イーストモールいちまる」(東4条南16丁目)の店舗内に設置、6人体制で地元対応を強化する。いちまるの売上高は2015年2月期で約96億6400万円。早いうちに100億円突破を進める。また、屋号の「いちまる」は近いうちに返上、「マックスバリュ」に変更する。
 
 帯広・十勝地域ではダイイチとマックスバリュ北海道、アークスグループの十勝・釧路地域会社、福原(本社・帯広市)が三つ巴の戦いを展開することになる。攻めのカラーを鮮明にするのは、マックスバリュ北海道の「いちまる」とそれに対抗するダイイチ。福原は防戦カラーが強くなりそうだ。帯広・十勝地域は流通新戦争の時代に入った。
IMG_8939(写真は10月2日に新生オープンする「プラザ。いちまる」。イトーヨーカドー帯広店と隣接している)


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