コープさっぽろ(本部・札幌市西区)の2014年度(14年3月21日~15年3月20日)決算は、コープの経営危機直後の決算以来、17年ぶりの減収減益になった。店舗事業は競争激化とMD(店舗政策)の上滑りで不振だったが、宅配事業は堅調で事業高は前年度比1・6%減の2583億2400万円、営業利益に当たる事業剰余は同17・1%減の39億7000万円、経常利益に当たる経常剰余は同18・5%減の35億1100万円だった。売上高営業利益率は、1・5%。IMG_7934(写真は、コープさっぽろ本部)

 部門別事業高は次の通り。
◇店舗 1767億1800万円(前年度比1・6%減)
◇宅配 752億3100万円(同2・1%減)
◇共済 15億8100万円(同1・7%増)
◇その他収入 99億3500万円(同3・0%増)
 店舗事業は、ディスカウントストア(DS)のトライアルカンパニー(福岡市)の一挙7店舗出店による影響でグローサリー商品の価格競争に晒されたほか、昨年9月下旬からチラシや店頭の価格表示を税込の総額を大きく、本体価格を小さくするMDに全店切り替えたところ、売上げが急減(4%程度)した影響で減収になった。
 
 宅配事業のカタログも昨年後半に総額表示に変更したところ、やはり売上げが落ちたという。「一時は不振の原因が分からずバケツの底が抜けたのではないかと危惧したが、原因分析した結果、総額表示を大きくしたことによって高いという誤ったメッセージをお客に与えることになってしまっていた」(大見英明理事長)
 
 このため、店舗、宅配とも新年度が始まった今年3月21日以降、本体価格を大きく、総額を小さく表示する以前のMDに切り替えた。その結果、店舗売上げは前年比5・7%伸びているという。
 
 宅配事業の減少は、灯油の売上げが83億5500万円と前年度より16億6300万円落ちたことが原因でその他の宅配事業は堅調だった。
 
 期中にスクラップ&ビルドで新店2店(しがイースト店=登別市、きたごう店=札幌市白石区)、居抜き出店1店(はぼろ店=羽幌町)をオープンさせた。リニューアルは3店舗(忠和店=旭川市、美園店=札幌市豊平区、野幌店=江別市)実施した。
 この結果、事業剰余は過去二番目の実績だったが、減収減益はコープさっぽろが経営危機に陥った1998年度以降で初めてとなった。
 
 今年度は、「成功体験をイチから見直し、52週MDもマンネリ化しているため全国チェーンスーパーのよいところを取り入れた売場づくりを進める。既に農産品の陳列台を低くしたり鮮魚売場に25年ぶりに対面販売を導入、またPOP広告もメッセージが伝わるように変えた。惣菜も引き続き強化する」(大見理事長)
 
 2015年度の事業高は1・2%増の2615億円、経常剰余は8・6%増の38億円を狙う。なお、店舗事業は0・2%増の1770億円、宅配事業は3・2%増の777億円などを計画。新規店舗の予定はない。



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