DSC_6133DSC_6136 冬の名残をとどめようとばかりに春の雪が降りしきる中、札幌市東区北丘珠の住宅街にミニスーパーが22日、オープンした。回転寿司「魚一心」や海鮮居酒屋「ROBATA」など10数店を展開する東和システム(本社・札幌市豊平区)の「WithMart(ウィズマート)丘珠店」(東区北丘珠3条1丁目)だ。以前、この地区で営業していたスーパーが撤退して1年半、地域にスーパーが戻ってきたと地域住民約100人が行列を作って開店を待ち侘びた。(写真はオープンしたウィズマート丘珠店)
 
 食品スーパーと言えば、店舗の前に広々とした駐車スペースがあり、車の往来を気にしながら店に出入りするというのが一般的。整然と品物が並べられた売場を縫うようにカートを押しながらかごの中に商品を入れて行くのが、多くの人の買い物のイメージだろう。
 
 しかし、車がなかったり足腰の弱った高齢者や子供たちにとって、こうした食品スーパーは便利なようで不便な面がある。
広い売場を歩くのもひと苦労だし、買った商品を歩いて持って帰るのも面倒だ。歩いて買い物に行ける範囲は最大でも500mとされ、それを超えてしまうと車のない高齢者の買い物意欲は途端にそがれてしまう。
 
 北丘珠の住宅街には大きな食品スーパーがないし、どの家からも歩いて行ける範囲に日常的な買い物ができる店もなかった。1年半ほど前にミニスーパーが閉鎖されてから、ここ北丘珠は買い物が不便な地域として逆に注目を集めるようになっていた。
 
 買い物過疎とも言える地域にスーパーが戻ってきたため、この日は午前10時の開店を待ちきれない住民たちが30分前以上前から店舗の入口前に並び始めた。開店15分前にはその数100人近くに。このため予定を繰り上げて開店したものの、店内はわずかに70坪強だから行列を作った買い物客は入りきれず、入場制限が繰り返された。
 
 このミニスーパーの駐車場は15台も入ればいっぱいになる。しかし、車で買い物に来るお客は少なく、食品スーパーの新規オープンではお馴染みの大渋滞も引き起こさなかった。車よりも狭い通りのあちこちから雪の中を歩きながら買い物に向かってくる人の姿が目立った。
 
 食品スーパー業界では、「ミニスーパーは成り立たない」という定説がある。コンビニのようにシステム化されておらず、生鮮食品を扱うことでコストが高くなり、かつてミニスーパーに参入した多くの食品スーパーが撤退していった歴史があるからだ。定説が生まれた時代から10数年がたち、消費の主役は高齢世代に移っている。歩いて毎日買い物ができるミニスーパー復活となるのか、「ウィズマート」のオープンは業界常識を問う出店でもある。


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