政府が23日からマレーシアでTPP交渉会合に参加したことを受けたタイミングで「TPP断固反対」の7000人集会とデモ行進が25日、札幌市内で実施された。北農中央会や道ぎょれんなど4団体からなる実行委員会の主催によるもので集会の会場となった中島公園自由広場には全道各地から農業者、漁業者などが肩の触れ合うほど集まり断固阻止の拳を振り上げた。この日は強い雨が断続的に降り、参加者たちは雨合羽を来て臨んだ。政党代表の挨拶では、今津寛自民党衆議の発言に会場からは多くのヤジが飛び、小川勝也民主党参議や鈴木貴子新党大地衆議が話す場面では拍手や激励の声が湧き上がった。(写真、上段左から中島公園に詰めかけた7000人、飛田稔章北農中央会会長。写真中段左から小川勝也参議、鈴木貴子衆議。写真下段は市内のデモ行進)
 
 23日から始まったマレーシアでの交渉に情報収集のために訪問していた北農中央会の飛田稔章会長も現地でのインタビューとして道新夕刊に掲載されるよりも早く帰国、この集会に駆け付けた。「2、3日寝なくても大丈夫」と気丈なところを見せ開会の挨拶。「国民の命は北海道が守っている。その力が発揮できなくなったら誰が国民の命を守るのか。TPP反対は農業者の経営を守ることではなく国民の命を守ることだ。7000人も集まっていることを政府に分かってもらわなければならない」と述べ、「この雨は怒りの雨だ」と語気を強めた。
 
 続いて高橋はるみ知事の代わりに竹林孝道農政部長と道議会加藤礼一議長が挨拶、竹林氏は知事の挨拶文を代読し、「道民の安全と安心を預かる知事として主張すべきは主張し、行動すべきは行動するという強い姿勢で本道の農林水産業と北海道の未来を守り抜く決意だ」と誓った。
その後北海道医師会の長瀬清会長と北海道消費者協会の橋本智子会長が意見表明、共に戦っていく姿勢を改めて表明していた。
 
 政党代表の挨拶では、参加者のヤジと拍手が交互に飛び交い、とりわけ今津寛自民党衆議は強いヤジに包まれ、「叱声は甘んじて受けるが、国益をかけて農業農村食料を守っていく」と声をからせながら訴えた。
 
 逆に心に響いたのは小川勝也民主党参議と鈴木貴子新党大地衆議の挨拶。小川氏は「皆さんと首相官邸を取り囲んで官邸を揺さぶって倒すか壊すくらいのエネルギーを発しないと止められない」と語って拍手を浴び、鈴木氏は「皆さんの頭に巻かれている鉢巻は“TPP即時脱退”と書いてあるのに私たち政治家の頭に巻かれているのは“北海道を守ろう”。なぜ皆さんと同じ鉢巻を撒くことができないのか」と述べると、会場前方の参加者から鉢巻を渡され頭に結び直すパフォーマンスも。さらに「この雨は皆さんにとって悔しさの雨だ。何度も何度も裏切られた怒りの悔しさだ」と語ると会場からは「そうだ」という声とともに拍手が湧き上がった。
 
 集会では、北海道農民連盟の山田富士雄委員長が大会決議を読み上げ、北海道農協青年部協議会黒田栄継会長の音頭でガンバローを三唱して終え、その後7000人は大通公園まで市内中心部を拳を突き上げながらデモ行進した。


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